М・ガブリエル『壊れた恋の羅針盤』 7月7日 

池田政之の仕事

 

 

 

 

明治座『人形町物語』、おかげさまで好評で公演が続いております。

 

 

 

て気づいたら7月ももう7日。七夕ですがな。

完全に今年も半分過ぎたことに、落ち着いてしまいました。

 

 

 

いやいやいや、後半戦も気を引き締めて参りますぞ。

 

 

 

 

そう言ってたら後半戦にドえらい話がやってきました。

 

 

皆さん、えらい事になりましたぞ。 

 

 

今年1月日生劇場ジャニーズwestに続いて、今度はジャニーズJR内の人気ユニット

「ふぉ~ゆ~」の初主演芝居の注文がきましたんですぞ。

 

 

しかも池田政之にではなく、ボクが外国(フランス)を舞台にした喜劇を書く時に使う

М(マルティーヌ)・ガブリエルに。

 

 

ふぉ~ゆ~というのは福田悠太クン、越岡裕貴クン、松崎祐介クン、辰巳雄大クンの

同期同年全員名前にゆうの字が入る人気四人組の事です。

50過ぎたおっちゃん覚えたで。雑誌や『ザ少年倶楽部』を見て勉強したで!

 

 

 

で、書きました。

 

 

8月5日~16日、博品館劇場、少年隊の錦織一清クン演出。

 

タイトルは『壊れた恋の羅針盤』

 

 

イメージは、ごめんなさい。お馴染みのこれでひとつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは商業演劇の人間ですが、劇団NLTの文芸演出部 兼 企画委員でもあります。

 

劇団NLTとは昭和41年、文学座を脱退した三島由紀夫と著名俳優たちが

グループNLT (NLTとはラテン語で新文学座の意味)を結成。

昭和43年に分裂し、故・賀原夏子先生を中心に、

フランスを中心にした欧米の喜劇を専門に上演する劇団NLTとして再出発。

以来48年間喜劇を、それも主にフランス・ブールヴァールコメディを上演してきた

新劇の劇団であります。

   ※詳しくはこのトップページからNLTのホームページへ行けまする。是非。

    ちなみにあと2年過ぎたら50周年。今から企画を考えているのでごんす。

 

あ、それとブールヴァールコメディというのは、パリのブールヴァール通りにある

幾つかの劇場で上演されてきた、明るく楽しく、恋あり冒険ありドタバタあり

どんでん返しありの肩の凝らない楽しいコメディのことをさします。

 

 

で、ボクはNLTの企画委員で、上演演目を決める係でもあります。

 

ですが、毎年3~4本の喜劇(つまり10年だと30本から40本)を捜しだし

常に供給するのはなかなか大変で、

そこでいっそ書いてしまえ!と書いたのが、今から5年前の平成22年2月に

上演なった『シャルルとアンヌと社長の死体』なのです。

 

で、折角フランスのブールヴァールコメディを書いたんやからと

その時に名乗ったペンネームがМ・ガブリエル。

 

МはマルティーヌのМ。つまりマルティーヌ・ガブリエルというのが本当の名です。

 

これを聞いて「?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

そうです。『ベルばら』で有名な実在の人物ポリニャック伯爵夫人の本名です。

 

あれだけマリー・アントワネットの寵愛を受けながら、革命時真っ先に

王妃を見捨ててオーストリアへ逃げた人です。

ちなみにその次男は後にフランスの首相にまでなってます。

 

 

あれは今から40年も前。

当時は宝塚のベルばらが大ブーム。クラスの女の子はもう大騒ぎ。

特にボクたちは兵庫県で、宝塚も近かったから、

母親や姉や妹がファンだと男子でも見にいったり、

知識として知っていて当然でした。

 

そんなある日、とある女子が「もしお芝居でベルばらをするとして、

男子もやるとしたら、どの役がええ?」と聞いてきました。

当然人気はアンドレ、ベルナール、アラン……フェルゼンは人気なかったなぁ。

 

その時たまたまボクはトイレへ行ってて、教室に戻り話に参加した時は

もう男の役が残っていず……女の役ですらオスカルらめぼしい役は残ってなく、

超悪役ポリニャックさんをはじめ数人が残っているだけでした。

 

でもポリニャック夫人は神代錦さんや三鷹恵子さんという重鎮がやられた大役。

その日から、不思議とポリニャックさんが好きになりました。なんでや。

 

フランスといえばポリニャックさん。パリといえばМ・ガブリエル。

 

で、『シャルルとアンヌと社長の死体』の時、そのことを思い出して、

この名をペンネームにした訳でごんす。

 

実は大学の頃から変なものを書くときペンネームに使ってましたが、

プロとしてはね。

 

 

で『シャルルとアンヌと社長の死体』でМ・ガブリエルの名がチラシに載って、

М・ガブリエルの名がプロとしてデビューしたという訳でごんす。

 

勿論チラシの〈作=М・ガブリエル〉を見た方から、「それ誰?」と聞かれれば、

「ボクです」と答えたのですが、だぁれも聞かへんもんやから、そのままで……

 

そしたら『シャルル……』が「テアトロ」誌が選ぶ2月期東京で上演された舞台の

ベストスリーに選ばれちまったものだから大変。

結果評論家の先生を騙したことになっちまって……

 

で去年、ボクがたった一人で作っている劇団‹ま›でМ・ガブリエル名義の第2作目

『ボクはヒロイン』上演の際に、М・ガブリエルはボクですと、全て公開しました。

 

『ボクはヒロイン』。これです。

 

 

 

 

 

 

 

左からエンクミこと遠藤久美子ちゃん、村上幸平クン、守屋利香ちゃん、

萬浪大輔クン、平松慎吾さん、永吉京子さん、加納健次さん、岩田翼クン、

多井一晃クン、杉山美穂子さんです。懐かしい。

 

 

そしたら又々『テアトロ』さんで、中本信幸先生が昨年度のベストに

選んで下さいました。

「悲劇喜劇」誌で、みなもとごろう先生が「騙されたけど悪い気はしません。

なかなかの才人ですね」と誉めて下さいました。

 

つまり演劇界でМ・ガブリエルはボクのもう一つのペンネームと

認めて頂いている訳です。

 

 

 

 

さて、そんなことがあった今年の2月。

 

旧知のプロデューサーさんから電話がありました。

「NLTだから君が一番欧米のコメディに詳しいと思うんだけど」

「なんでしょうか」

「男の子4人が対等主役の戯曲ってある?」

即答しました。「ありません」

勿論男の子が4人以上出る芝居はいくらでもありますが、主役・脇役・端役と

役に大小がある訳で、4人が対等主役というのは聞いたことがなく、

更に上演に至るシステムが日本とフランスではぜんぜん違うため、

そういう戯曲はまず存在しないのです。

で、「どうしてもお捜しなら誰かが新作として書くしかないでしょうね」

「やっぱり。で聞くんだけどМ・ガブリエルって君だよね」

「そっち!」

 

 

 

で、書いた訳でごんす。

 

完全にフランス・ブールヴァールコメディとして。

 

で、折角なので、池田政之名義ではなくМ・ガブリエルにしちゃった!

 

もう演劇界では隠している訳ではないので。

 

というわけなのです。

 

 

 

 

錦織クンとは、以前中日劇場『大川わたり』でご一緒しました。

 

山本一力先生原作、江守徹さん演出、ボクの脚本、主役の銀次は勿論錦織クン。

 

堂々たる銀次役でした。

 

 

 

今回久々のお仕事という訳でごんす。

 

執筆は楽しい作業でした。ニッキとの打ち合わせも楽しい時間でした。

 

 

 

さぁ後はニッキにおまかせ。番組のタイトルみたいやな。「ニッキにおまかせ!」

 

 

ふぉ~ゆ~の4人の、清々しくも溌剌とした舞台を大期待しております。

 

 

 

ああ、初日が楽しみじゃあああああ!

 

 

 

 

  

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