第3回NLTコメディ新人戯曲賞、結果が出ました。 10月11日

池田政之の仕事

 

 

お待たせしました。

第3回NLTコメディ新人戯曲賞の結果が出ました。

 

 

 

 

 

 

 

本日NLTのホームページに掲載しましたが、例年通りボクのホームページにも

載せておきますね。

 

そして、例年通りボクの感想と審査経過を載せておきます。

これも例年通り審査員一同の総意にボクの個人的な感想も入ってます。

なので気にしたくない方は気にしないでくださいまし。

 

 

 

今年は64本の応募がありました。

チャレンジしてくださった皆様にまず敬意を表します。

 

 

今年超過作品は1本だけでした。

 

今年も登場人物を別紙添付していないもの、ページを打っていない作品が10本ほど

ありました。ものすごく読みづらいです。なので次回の募集要項には指定しました。

 

幽霊や異界のものが登場する作品が今年はなんと17本。全体の三割弱。

ホントに皆さん好きですねぇ 。(笑)  別に構いませんよ。(笑)

 

やはり去年同様、中年以上の男性に多いのが、ご自身が生きてこられた世界や、

思想、嗜好を、説明ゼリフで羅列して、というより延々説明されて、そこにダジャレ

を入れただけというもの。何作も目につきました。

 

そんな中で大健闘されたのが最高齢76歳のお二人。

お二人とも瑞々しいセリフで、楽しませてくださいました。感激です。

お二方とも一次通過となりました。最終候補まであと一息。来年もお待ちしており

ますね。

 

男女合わせ50代以上の方が全体の約半数。

対して30代以下が16人。全体のちょうど4分の1。

若い方、どんどん応募してくださいまし。

 

 

 

ここで一つ。

ボクの採点方法の一つをご紹介いたします。

というかXさんの質問。あらすじって必要なんですか? あ、ちなみにXさんは

応募者ではありません。でも業界人です。

応募には800字のあらすじを添付していただいています。

ボクは最初にあらすじを読みません。いきなり戯曲を読みます。

コメディは、笑いにしても仕掛けにしても驚かす芝居でもあります。なので

ネタバレはしたくないのです。もちろん他の審査員は(文学賞でも他の戯曲賞でも)

みなさん先に読んでらっしゃると思いますよ。あくまでもボクの場合はです。

で一読後、その時点であらすじを読みます。

あらすじは作者の意図したストーリーが凝縮しています。それを戯曲一読後に読んで

ボクが受けた印象や理解したストーリー、人物描写と一致すれば問題はありません。

でも違っていたら……ボクの読み落としか、作者の思い込みか……

更には、一読しても、一体何の話かさっぱり分からなかった場合は確認というか。

とにかく、それからもう一度台本を再読するのです。つまり二回読むわけです。

作者の意図する(あるいはそう思い込んでらっしゃる)ものと、現実に出来あがった戯

曲と、それを読んだボクと、その三つの間に乖離はあるやなしや……

それを確認するためにも、あらすじは一読後に読むことにし、その為にもあらすじは

必要なんですよ。

もちろん先に確認される方が普通です。だってどんな話かも分からずに、知らない人

が書いた数十ページの長さの作品を読み進めるというのは不安です。知らない人に行

き先も告げられずに車に乗せられて連れていかれるようなものです。

つまり先に読もうが後で読もうが、それぞれの理由であらすじは必要なんです。

あらすじって必要なんですかと仰ったXさん。これが答えです。(笑)

 

 

 

 

さて。例年通り

    アイデア(オリジナル性含む)

    文章・セリフ

    構成・展開

    喜劇性

    完成度(推敲の可能性も含む)

の5項目、各10点の計50点満点で採点し、上位21本を一次通過作品として

全64本の寸評と共に全審査員に言上しました。

そこから審査会を開き、二次、最終と搾り、今回の結果となったわけです。

 

 

 

 

まずは一次審査通過の21作品です。(順不同)

 

   謎のパラダイスツア ー 海の家

   るるりずむ

   お通夜の客

   アメリ女王の憂鬱

   映画脚本家、文壇のドンに挑む

   損して得取れ

   鶴彌家のタンゴ

   張り込み

   後藤は先程、芝刈りに行きました

   それは俺のカタナです!

   賢い女は微笑まない

   甥と叔父

   ご多分に漏れず

   ロンドン協奏曲

   ころがるすいかはころころと

   モテ男なら

   世界で1番大切な人が世界で1番側にいてくれた

   ホワット・イズ・ラブ

   Who Are We?

   BACTERIA

   侵入者

 

 

 

それらを更に絞り込みました。で以下の12本

 

   映画脚本家、文壇のドンに挑む

   アメリ女王の憂鬱

   賢い女は微笑まない

   鶴彌家のタンゴ

   張り込み

   Who Are We ?

   侵入者

   ロンドン協奏曲

   ご多分に漏れず

   後藤は先程、芝刈りに行きました

   ころがるすいかはころころと

   BACTERIA

 

 

 

で、もう一度絞りました。

 

   舞台脚本家、文壇のドンに挑む

   アメリ女王の憂鬱

   賢い女は微笑まない

   鶴彌家のタンゴ

   張り込み

 

この5本を最終作品としてNLTのホームページに掲載しました。

 

 

 

さて、二次通過作品の感想です。

あくまでボクの感想ですからあまり気にしないでくださいね。

 

『Who Are  We ?』

達者な方です。凝りに凝っていらっしゃいます。ただ……凝りに凝るのが眼目の第一

になってませんか? 勿論コメディですから、凝りに凝るのは素晴らしいことです。

ボクも好きです。ファルスなんだからそれでいいんです。でも……

一読後あらすじを確認してもう一度読んで、その時紙に女1女2、男1男2……と書い

て、女1は今誰か、男1は今誰かと書いて、誰が誰かを確認して、意図も狙いも理解し

て、成程と思い……それでも、何だろう……

まず分かりにくい。芝居は役者が演じますから顔も違うし、衣装、色で区別できるで

しょうけど、そこも台本で配慮すべきでしょうね。演出指定というか。それだけでも

読み手の印象は違うと思います。応募台本は審査員が読むだけで判断される宿命にあ

るのですから。いえ、それでもどうだろう。著名俳優総出演の連続ドラマの第四話く

らいなら、視聴者もすぐ理解するだろうけれど。人物そのものが観客に刷り込まれる

前にこの現象が起こっても、作者が意図するほど効果があるだろうか。観客は、入れ

替わるという事象のみを理解して、それ以上のおかしみにまで到達するかどうか……

そこをどう乗り越えるかがミソでしょうね。

それと、凝りに凝った為に常に演技スペースが全スペースの半分、三分の一での芝居

になりますよね。それはあなたも書いてらっしゃいます。A氏とB氏、C嬢とD嬢と

いったように複数班で芝居が進むため、第一班がやってる間、次の班のセットを準備

し、二班がやってる間に第一班がやっていたところで第三班スタンバイ。あなたも書

いてらっしゃるとおり、舞台全景芝居が少ない。それって小さい芝居になってしまい

ます。いつも全景にするには、常に転換(場面替え)が必要になって、盆(回り舞台)や

旧新歌舞伎座のスライド舞台ならできますが、中劇場以下なら、小劇場的無対象(セッ

トなし)か、構成舞台になってしまいます。プロジェクションマッピングうちでは無理

やし。いっそミュージカルにしますか。それなら転換も歌ってる間に出来ちゃってい

つも全景ですものね。でもあの凝りに凝ったスタイルは、写実でやってこそ生きてき

ます。この矛盾をどうするのか。この新人賞はNLTでの上演も視野に入れていますの

で。雪の山荘とかならねぇ、大リビングあるし。でも小さな船中の船室や廊下やデッ

キだから面白いのだし……もちろん過去にありますよ。舞台のあっちとこっちと上と

下で芝居が進行する構成作品。でも、再演される名作の何と少ないことか。つまり…

…そういうことなのです。

それと、凝ることに頭が行き過ぎて、セリフがちょいと荒くなってるところもありま

したよ。僭越ながらボク直して演出してみたいと思いました。惜しいです。

 

 

『侵入者』

おもしろかったです。ボクは好きですねぇ。アメリカのインディーズ映画にありそう

なお話ですね。特に同居することになった若者の設定はお見事でした。ただセリフが

まだでした。惜しいです。

 

 

『ロンドン協奏曲』

「三文オペラ」の基というか、シェイクスピアにあこがれた当時の若い作家の原稿が

発見されましたみたいなタイプの作品です。発端も動機も世界観もキチンと出来てま

す。惜しいのは、そこからがありきたりなんです。後半、ボクたちがアッという展開

で終わったら……それを思いつくのが大変なんですよね。

 

 

『ご多分に漏れず』

うまいです。なのに、ちょいちょい顔を出す不条理的展開。あの市長室の構造は? 

そこをはっきりさせてくださいまし。レイ・クーニーはうまいですよ。ケン・ラド

ウィックは今一つやけど、あ、失礼(笑)

 

 

『後藤は先程、芝刈りに行きました』

さぁ、本日のメインです(笑)。唯一の再応募枠作品。

うぅーん……去年のと読み比べてみました……再応募は少々厳しくなるし……

まず御用聞き、いりませんよね。ゆとり社員の方がはるかにコメディ的です。変なОL

のセリフ直ったレベルかなぁ。頑固なんですねぇ。もったいないなぁ。それとも昨年

のボクの推敲案アドバイスが悪かったのかなぁ。

ボクが感想と、再応募枠のアドバイスで言いたかったのは、リアリティのない設定の

コント的なセリフをどうするか、でした。それには二つあります。一つは普通のセリ

フ・普通の対応セリフに直すこと。もう一つは「そんな奴はいないよ」の言動にリア

リティを入れればいい、だったのです。貴方のアドバイスに「一つは『Who Am I ?

』さんと同じです」と書いてましたでしょ。変なОLには一度早めに社長が出て「部長

を隠せ。でないと命はないぞ」で何とかなります。そして、これは書きませんでした

けれど、ゆとり後輩は、とにかく序盤で社長の甥っ子とか与党幹事長の息子とかにし

ちゃえばいいんです。ワガママでマイペース育ちで、でも親の人脈とどこか憎めない

キャラで、成績は上々だし、誰も文句が言えない、というキャラ設定にしちゃえば、

それだけでおふざけなセリフも、コメディ的にリアリティのあるセリフに変身しちゃ

うんです。「そんな奴いねぇよ」が「そんな奴いるかも」になっちゃうんです。つま

り、おふざけのセリフを直して、というのは、おふざけのセリフがおふざけのセリフ

じゃなくなればいいわけです。

もちろんセリフは推敲してレベルを上げてもらって、最後の真実が分かった時の周り

のリアクションに各々の心が描かれていれば、佳作にはなるだろうとボク楽しみにし

ていました。

もっかいやりますか?(笑)  このブログ最後まで読んでくださいね。それと登場人物

書いといてね。-1ですよ。

 

 

 『ころがるすいかはころころと』

おもしろい。ボク好きです。でも小劇場演劇ですね。つまりNLTでは難しいです。

他所ではいいところに行くかもしれません。ただ、クライマックスが弱いです。もっ

と大きく深刻なものになさった方がいいと思います。惜しいです。

 

 

『BACTERIA』 

四つのオムニバスが一つになって……めっちゃ笑った。めっちゃ面白い。でも、セリ

フの針の振りがコント寄りなんですよ。「そんな奴いる?」の世界なんです。つまり

長いコントだと思われてもしようがありません。惜しい! 惜しいなぁ。次回は是非演

劇で書いてくださいまし。こんなにおもしろいことをお考えになられるのですから。

 

 

 

さて、

最終の5作品です。  

ボクの最初につけた点数順で。

あ、何度も言いますがあくまでもボクの感想ですから。気にしないでください。

 

『映画脚本家、文壇のドンに挑む』

うまい。セリフ、完成度、余裕の1位の人間喜劇です。でも……

これは、映像用に書かれたものを大急ぎで舞台用に直されましたね。ボク、シーンを

数えました。31。前後を入れたら50は越えるでしょうね。となると『Who Are We

?』さんと同じことが起きるんですよ。いえもっと深刻です。場面を次々に変えて、

もちろん舞台のど真ん中で堂々と芝居をすればいいんだけど、次の場面転換に時間が

かかる。大劇場の盆やスライド、大セリ中セリや、プロジェクションマッピングなん

てうちでは無理ですからね。更に、例えば〈s15ホテルの一室〉があるとします。映

像ならその前に〈s13ホテル外観〉〈s14ホテルのロビー(セリフが聞こえ始める)〉

〈s15ホテルの一室〉となり、「ここはホテルの一室」とセリフで言わなくても分か

ります。s15だけで表す場合も画面下に○○ホテルとテロップを出せば済みます。で

も演劇はセリフで言わないと分かりません。ト書きはセリフではありませんから。そ

ういう個所が数か所。つまり急いで舞台用に直されたんでしょうね。

これを我々が舞台劇に直すとなると、作者の作じゃなくなります。そういう意見多々

で……ご理解を。 

 

 

『アメリ女王の憂鬱』『賢い女は微笑まない』

2本とも同じ作者です。この作者は5本も応募。安定しています。おもしろい。でも

なんでしょう、それだけなんですよ。終わり方もあっさり。さほど展開に驚かない。

『アメリ』は大仰な設定が面白い。でも話自体はよくある話です。セリフがうまいか

ら面白く読みましたが。吉本にも松竹にも同じネタはいくつもあります。王宮が舞台

ではありませんが。(この設定はホンマに好きですわ)  さぁどう収めてくれるのだろ

うとワクワクしながら読み進むと、あら、定番?

『賢い女』は風刺がきいています。そこは素晴らしいですが、それだけの話です。

それより問題は、後の3本。1本は二次通過寸前。後の2本はボクの最初の採点では

なんと22位23位。何でしょうこの差は。2位3位の人が22位23位。以下はボク以外

の審査員の発言です(一次通過じゃないのに他の審査員も気になって読んだんですよ)

「2位3位の人ならこのレベルの作品がダメなくらいわかるはず。なのになぜ応募す

るのだろう。(中略) 印象下がるよね」 この言葉にボクもハッとなりました。とりあ

えず出しときゃどれか当たるだろうと思われたのでしょうか。それとも2位3位と22

位23位の違いが客観的にみられないのでしょうか。

セリフもうまい。構成もうまい。ウェルメイドな舞台コメディになっている。だから

ボクの採点でも2位3位なんですよ。この腕なら、毎週やってるコメディ番組、例え

ば昔の『てなもんや』等の〈今週の1本〉なら十分通用すると思いますよ。でもこれ

は新人賞の応募作なんです。我が子はみんな可愛いのは分かりますが、人前に出すの

に合う子と合わない子があるはずです。5本書く精力と時間を1本に絞って、「この

1本に全てを賭ける!!!」の気概で臨んでほしいのです。

NLT如きが、ボク如きが偉そうに、随分と失礼を申しました。5本も応募したのにこ

んなこと言われるなんてね(笑)。お許しを。そうかて本当にもったいないもの!

 

 

『鶴彌家のタンゴ』

最終候補の5本で4位ですが、ボク的には一番好きな作品でした。いいお話です。

出来上がりの舞台を想像してたら涙が出てきました。でも……さぁ行きますよ(笑)

まず喜劇性が薄いです。二人の個性的な祖母(例えば杉村春子さんと京塚昌子さん、あ

るいは細川ちか子さん(古いな)とうちの賀原先生、野際陽子さんと樹木希林さん、の

ような(笑))の対比と各々の言動で笑わせることは十分可能です。次に、2ページ削っ

てその2ページ分もっと感動的な場面があれば……最後の最後に雅臣が雨の中父に会

うため全力で客席を走るシーンとか。そしてもう一つ、先妻と大阪の愛人、出しまし

ょうよ。ワンシーンでいいから。二人とも難産と聞き駆けつけてくる。特に先妻。絶

対またがないと心に誓った鶴彌家の敷居をいとも簡単に超えて助産にくる。そしてす

べての女性が恩讐の果てに揃って(もちろん怖い祖母も実の父も)生まれてくる子を祝

福するシーン。続いて先妻が庭で「こんなことならもっと早くに来て、息子を抱きし

めてればよかった」と嘆く。その先妻の肩にそっと手を置く淳之介。その瞬間泣き崩

れる先妻。泣けるでしょ。後はタイトルのタンゴが少し弱いです。失礼しました。

 

 

『張り込み』

アイデアは全ての中で1位でした。ボク思いつかなかったなぁ。お客様にケツを向け

たまま進行する芝居が合理的にできるなんて。うまくやれば珍しいタイプの新しいコ

メディになるかもしれません。こんなアイデアをボクより年上の(失礼)女性が思いつ

くなんて。柔軟な頭脳に拍手です。ただ……セリフがまだなんですよ。惜しいなぁ。

それと、公務の刑事と民間でピーピングトム代表の山田さんとの対比がもっと出れ

ば、どちらが正しくてどちらが間違っているのかまで炙り出せると思いますよ。そう

なったらすごい話になりますね。

 

 

 

 

さて、厳正な審査の結果、今回は受賞作(佳作・審査員特別賞も)ナシとなりました。

 

 

直せば成立する作品はあります。ですが、まず正賞のレベル、佳作レベルになってて

いただかないと。例えば歴史的名作、シェイクスピアでも、いざ稽古が始まって役者

が動き出すと、あれ? という個所が出てきて、演出家が修正することはよくあること

です。ですが審査の段階で最初からそれを加味して賞を出すというのは、それではN

LTコメディ新人戯曲賞ではなく、NLTコメディ新人アイデア賞になってしまいま

す。それは許されません。来年その部門賞作りますか?(笑) 

もちろん佳作の場合は、「十分佳作のレベルなので佳作として受賞させよう。でも上

演する限りは正賞レベルにしなければならないので、ここをこう直そう」と、審査の

段階で確認して佳作を出すことはありました。それは許されるはずです。

 

誤解を恐れずに言えば、ボク的には今回も佳作レベルはあります。しかし去年一昨年

に比べ、直す量とその根幹が大きいのです。なればこの結果もやむなしと。ご了解く

ださいまし。

 

 

 

さて、〈再応募枠〉該当作品です。

 

まず『映画脚本家、文壇のドンに挑む』さん。やはりこの作品は映像でこそ生きると

思います。なので、もしまた応募しようと思ってくださるのなら、舞台の新作をお待

ちしています。

 

『アメリ女王の憂鬱』『賢い女は微笑まない』さんは、これだけ書ける方です。

「この1本に全てを賭ける!」な新作を是非是非読ませてください!

 

なので『鶴彌家のタンゴ』さんと『張り込み』さんを〈再応募枠〉該当作品とさせて

いただきました。よろしければ推敲の上来年も応募してくださいまし。

 

 

 

さて、その推敲案ですが、

 

『鶴彌家のタンゴ』さん。

一つは先程の感想の通りです。

あと二つ。一つは喜劇性です。喜劇性には大きく分けると三つあります。

一つ目はファルス的構成展開。すれ違いや取り違えのドタバタですね。でもこの作品

はそうではないのでいいです。

二つ目は小ネタ、会話の妙、刹那の笑いです。会話でも、持って行きようで笑いにな

ります。これは一例ですが例えば海原お浜・小浜師匠(上沼恵美子さんの師匠ですね)

の漫才にこんなのがありました。戦国ネタで、

   小浜師匠「城を枕に討ち死にじゃ!」

これに対しその言葉も意味も知らない人は普通はこう言います。「何それ?」あるい

は「どういう意味?」

ところがお浜師匠はこう言いました。

   小浜師匠「城を枕に討ち死にじゃ!」

   お浜師匠「大きな頭やな」

   小浜師匠「お前アホやろ」

「城を枕にする頭ってどんな頭?」と考えちゃったんですね。ね。不条理でもなく、

常識範囲に留まってて且つおもしろいでしょ。こういう風にセリフを構築していくと

たまらなくなるでしょ。キーワードは〈そういうことじゃなくって〉なセリフです。

あ、だからといってダジャレは駄目ですよ。

喜劇性三つ目。話の根幹に沿った展開的帰着点による笑いです。例えば因果応報な

展開。親と同じことをするとか、絶対否定してきたことを最終的に肯定するとか。

根幹的ストーリーに訪れる皮肉な展開のことです。実はこれはもう十分内蔵されてい

ます。なので推敲の段階で意識して推敲してください。

さて、もう一つはタイトルのタンゴですが、もっとストーリーに絡むか、象徴的にド

ンと輝かせるか、タイトルを変えるか、それともやめるか。今はいいと思います。推

敲がすんでからお考えになれば。うまくいかなきゃタイトルを変えりゃいいんですか

ら。それよりこの物語には、タンゴ、ワルツ、その他、どれが合うでしょうね?

頑張ってくださいまし。勿論、違う作品で応募くださってもОKですので。

 

 

『張り込み』さん。

基本的に物語(ストーリー)はこれでいいと思います。

で、推敲案ですが、一つはセリフの向上です。これは、頑張ってくださいとしか言い

ようがありません。

二つ目は先程チラリと書いたピーピングトムの件です。のぞき見趣味のことで、いい

意味ではありません。山田のばあさんがこれにあたります。では、合法的にやってい

る刑事はどうなのか? 張り込んでいるのはいいけれど、張り込むために滞在するこ

の家のプライバシーは何もなくなってしまうわけです。いくら警察だからといって、

許されるのか。これだってピーピングトムでしょ。だって、その家族と刑事の間に、

もしプライベートがあらわになったがゆえの、何らかの感情の進展、トラブルが起こ

ったとすれば。つまり、張り込んでいる向かいの家の話ではなく、この家の話に移行

する場面があれば、これって問題ですよね。となれば民間と、公費でやっている警察

とどちらがどうなのか? その件に言及するセリフ場面があれば、すごいことになる

と思いますが。

一つヒントを申しましょう。刑事の中に、山田のばあさんのような性格の奴がいれ

ば……

でも、まずは今のままのお話でセリフを推敲してくださいまし。

再応募は初応募に比べ厳しくなるので、余程でないと無駄になる可能性大なのですが

それでも選ばせていただきました。アイデアがダントツだったのと、7月までの目標

ができたということでひとつご了解ください。

勿論そんなしんどいことはまっぴら!とお思いなら別に構いません(笑)。

新作もお待ちしています。頑張ってくださいまし。

 

 

お二方とも、再応募されても、受賞となるのは難しいかもしれません。初応募作より

厳しくなりますから。だからイヤなら無視してください。

 

 

それと『後藤は先程、芝刈りに行きました』さん。もう作者の名前後藤さんになって

るな(笑)。なんかもう後輩のような気ぃしてきた。ぜんぜん知らん人やけど(笑)。

昨年最終候補で、審査員の挙手で佳作にはなりませんでしたけれど、それだけの作品

を書いてこられたのです。だから〈再応募枠〉該当作品になったのです。

でも、チャンスは二度はありません。

でも、ボクの推敲案アドバイスが悪かったのかもしれません。

そこで、特例中の特例としてもう一度推敲して、来年NLT新人賞係の池田宛に送って

くださって構いません。他の全審査員に頭を下げておきました(笑)。 もちろん嫌なら

そんなことなさらなくても構いませんので。新作も読んでみたいですし。

 

 

他の方は同じ作品での再応募はご遠慮くださいまし。

 

 

 

 

で結果こうなりました。

 

 第3回NLTコメディ新人戯曲賞 正賞  ナシ

                 佳作  ナシ

             ・ 

         〈再応募枠〉該当作品   『鶴彌家のタンゴ』『張り込み』

 

 

 それとは別に『後藤は先程、芝刈りに行きました』さん、宜しければ池田宛に。

 

 

です。

     

 

 

今回の結果を受けて、来年7月は、2014年7月にNLT新人作家育成プロジェクト

vol.1『人質に乾杯』でデビューしたNLT文芸演出部所属(第二文芸部)の山崎哲史

(第1回審査員特別賞受賞)の新作を、ダッシュ公演(若手公演)として上演することに

なりました。報告しておきます。

 

 

 

 

今回は残念でしたが、来年も第4回を実施します。

才気あふれる楽しく素敵なコメディ戯曲の応募をお待ちしています。

 

 

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

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