幕間と幕間 3月30日

〈ま〉の日常

 

 

 

NLTの書庫でお洒落な本を見つけました。

 

 

 

 

 

 

『幕間のパリ』

 

なんてお洒落なタイトルでしょうか。

 

 

この本を手に取って、あることを思い出しました。

 

 

幕間。

 

これは「まくあい」と呼びます。

が、一方「まくま」とも呼びます。

 

昔、ボクがお芝居のセリフで「まくま」と書いた時

観客の方から、アンケートで、すごい高圧的嘲笑的おしかりを受けました。

「幕間と書いてまくあいと呼ぶ。そんなことも知らないのか!

そんな奴が書いた脚本など見るに値しない!」と。

 

名前と年齢は書いてあり、ご年配の男性の方と分かったのですが

住所や電話番号は書かれてなかったので、それきりになりました。

 

残念です。

 

だって「まくま」と「まくあい」はちょいと違うものですから。

 

 

ともに幕と幕の間の意味ですが、「まくあい」と「まくま」は違います。

 

「まくあい」とは一幕と二幕の間。そこには休憩が入ります。

新劇や小劇場なら15分。いわばトイレ休憩ですね。

商業演劇なら30分。食事もできます。

 

これが「まくあい」です。

 

大昔は芝居見物は一大娯楽で、観客にとっては食事を挟んでの大イベントでした。

升席や桟敷席で、まくあいに酒を飲んだり食事をしたり。

芝居も三本立て四本立て五本立てで、歌舞伎は今でもそうですよね。

一本目の芝居と二本目の芝居の間、これが「まくあい」です。

 

 

今でも大相撲はそうですよね。

升席や桟敷席で焼き鳥を食ったり。

 

大相撲では十両と幕内に間に休憩が入ります。

いわば、あれが「まくあい」です。

ただ相撲ではあれを「中入り」といいますよね。

この言葉、元々は能楽からきてるそうですよ。

 

 

閑話休題。

 

今、「まくあい」は死語です。

休憩と言ってしまうからです。

「まくあいに楽屋へ顔を出して」とは言いません。

「休憩に楽屋へ顔を出して」と言うからです。

 

 

それに対し「まくま」は、

一幕と二幕の間でも休憩とはならず、客席は薄暗く、音楽が流れて、

場面を変えてそのままお芝居が続く、その間のことを言います。

 

これは今でも生きています。

 

今では「まくあい」と「まくま」ではなく、「休憩」と「まくま」に

なってしまいました。

 

もちろん元々「まくま」という言葉は存在したのかどうか? 

だれかが使い出して幕内で一般化したのでしょね。

ボクがこの世界に入った33年前にはもうありましたけど。

 

 

 

これが正しいかどうかわかりません。

ただボクは先輩からそう教えられ、以来30年以上

そのように使用してきました。何の支障もありません。

 

でも、今でも、俺は「まくあい」と呼んでいる!

という、先輩もいらっしゃるでしょうね。

 

 

 

さて、昔ボクがセリフで書いたのは、転換中の幕間のこと。

すなわち「まくま」です。

 

 

そのおじさん、連絡先さえ書いておいて下さればご説明したのに。

 

 

 

さて、『幕間のパリ』ですが、これは「まくあいのパリ」でしょうね。

 

昔「幕間劇」いうのがありました。

クリトリーヌの『パタン君』や『署長さんはお人よし』など、

NLTでもアトリエ公演でやりましたが、その説明は又いずれ。

 

 

そうそう、NLTの若人たちよ。

『幕間のパリ』は今ボクが借りてます。

書庫へ行っても今はありませんのであしからず。

 

 

 

 

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