上級者の陥る罠 11月25日

〈ま〉の日常

 

 

キングコングの西野亮廣クンのブログはいつも読んでます。

『魔法のコンパス』と『革命のファンファーレ 』以来のファンなので。

 

ほとんど毎日更新されるので、毎日読むという訳にはいかないけれど、たまに覗いて

全部読んでます。

いつも成程成程と思いながら、大したもんだと思いながら読んでます。

 

 

ここ数日の、タイトル『声を上げないライトファンの声に耳を傾けよう』と『にわか

ファン大歓迎。面白くで分かりやすいものを作る』は、マジ共感した。

 

どんな内容かというと、西野クンが市川海老蔵丈と1月の新橋演舞場で創るプペルの

歌舞伎化舞台『プペル~天明の護美人間~』に於て、海老蔵丈との話し合いの中で感

じたこと、それによるビジネス形態の構築、等々をつづっているのだけれど、上の2

つは特に成程と思ったんですわ。

 

それは……

どんな業界でも「生き延びる為の提案を、その業界の中枢メンバーが壊す」と「中枢

メンバーとは、その業界を作っている人とコアなファンだ」

です。

 

 

ボク、膝を打つと共に、ハッとしました。

 

 

 

 

 

 

 

まず膝を打ったほう。

これは幾つも思い当たることがあります。その業界を作ってきた人の、つまりは偉い

お方の頭の固さに、マジ落胆したことが幾つもありました。で、結局最終的にその提

案に乗るのだけれど、その時点ではもう遅いとなることが幾つもありました。ドラマ

の企画だって、「はぁ何それ?」な感じでボツにされて、数年したらその企画を違う

人でやっているなんてことが幾つもあったからです。

 

そしてもう一つ怖いのが、悪い意味でコアなファンの方だと。

 

ここで去年の6月15日の「良心とはどこまで」で詳しく書きました。ボクが昔NHKの

Eテレで『花鳥風月堂』という、歌舞伎を知らない人向けの番組を書いていた時、そ

の番組は、若者の古典離れを食い止める為にも「渋谷を闊歩している(当時の)ギャル

が歌舞伎に興味を持つように」つまりは歌舞伎を知らない人への入門編、というNHK

さんの意図で作っていて、視聴率も良く、だから1年の予定が2年に延び、そこから

中級編へ進む人も多く、とりあえず成功していました。

 

でも、歌舞伎を良く知る、つまり上級者の方からはSNSで随分批判されました。「中

途半端だ」「三文芝居」「バカバカしい」等々。

 

中でも驚いたのは、女流作家で歌舞伎評論家の方が「あんなことをやっていたら、元

からのファンが離れると、NHKに言ってやりました」と自身のブログに得意げに書い

たのです。

「あんなことをやっていたら元からのファンが離れる」は構いません。その方の意見

ですから。どうぞお書きください。でも、「NHKに言ってやった」とパブリックで書

く?

 

告げ口してやった。私は特別な上級者だ。だからNHKに直接言うことが出来る。それ

を自身のブログで書く。自己顕示ですか。

自身の意見は書いても、そんなこと普通公には書きませんよ。裏ではホントにやって

いたとしても、そんなことやったと表では喋りませんよ。それをパブリックで書く?

マジで怖い方です。

もし番組がそれで終了したのだとしたら……ホンマに恐ろしい人です。

 

 

上級者の陥る罠です。自身が正しいと信じ込んでいることへの絶対的な堅持と、新し

い試みへの妨害。そして、選民思想。

 

 

 

歌舞伎とは元々庶民と共に生きてきました。常に新しいことを取り入れ、時代ととも

に変化してきました。

ところが、海老蔵丈曰く「戦後、歌舞伎は敷居の高い、こうあるべきだというものに

なってしまった。これをどうにかしないといけない」 

そして西野クンが語るところ、つまりそれに対しての抵抗が大きいという訳ですね。

 

 

西野クンはこうも書いています。新作に対する評価は、その作品の出来・不出来であ

り、それ以前のものではないと。

 

正しく正しくその通りだと思います。

『ワンピース』も『ナルト』も『ナウシカ』も出来・不出来で判断するべきです。

ん? ちょっと待てよ。でも〈歌舞伎〉と銘打っている限りは、あれは歌舞伎の範疇に

入るのか? かなり広げた解釈でも入るか否か……という議論はあるでしょうけどね。

(^O^)

 

 

 

とにかく、何が言いたいかというと、上級者の、変化への抵抗の危うさです。

 

 

  

で、ハッとしたほう。

ボク自身もそうなっていないか……ということです。

 

ボクは例のおばさんとは違います。だってあの方は業界の実力者を公に気取っている

けど、あの方べつに演劇作ってないもの。

 

でもボクは自身が演劇界の中の人間です。 

で、ハッとしたわけですわ。 

上級者の陥る罠に落ちていないか?

 

今自問自答しているところです。

まぁ、ボクはそこまで偉くありませんけどね。(^O^)

 

 

 

西野クンのブログ『えんとつ町新聞 CHIМNEY TOWN』、読んでみてくださいまし。

あ、もしよかったら2020年6月15日のブログ「良心とはどこまで」もどうぞ。 もし

読んで不快な気持ちになられたら……先に謝っておきます。すみません。

 

 

 

 

 

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