千草のおばちゃん! 10月16日

〈ま〉の日常

 

 

松竹新喜劇の千草英子さんが亡くなられたとの報が。

 

 

 

 

 

 

勿論、松竹新喜劇でもお仕事をさせていただきました。

どのお役も面白くて、でもペーソスがあって。

稀有なコメディエンヌさんでした。

 

 

ボク、ファンでした。

最初は千草さんと呼んでいたのですが、そのうち親しみを込めておばちゃんと呼んで

しまっていました。

 

 

 

僕が一番印象に残ってるのは、勿論松竹新喜劇でもそうですが、新喜劇以外では

『あかね空』です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い長い物語。

主役の十朱幸代さんと赤井英和クンが若くて出会うところから始まって、2人が死ん

だそのあと迄の物語。3幕物でしたもの。

 

 

新歌舞伎座さん、そして中日劇場さんでした。

上のチラシは中日さんの物です。

 

 

で千草のおばちゃんは、大和撫子さんとうちの葛城ゆいと3人、十朱さんと同じ長屋

の3おばちゃんの役。狂言回しのような役で、最初から最後の最後まで、時が過ぎる

度に必ず出てくるお役でした。

演出の江守徹さんもノられて、3人が出てくるといつも同じ音楽が。3人のテーマ曲

でした。

で、カーテンコールもその曲で3人が出てくると、主役同様の大拍手でした。

 

 

 

いつだったか、もう7、8年前かな。

松竹座へ新喜劇を観に行って、江口さんの楽屋の前に立ってた時、その時は出てなか

った千草のおばちゃんもいらしてて、ボクを見つけて「センセ~!」と走るように来

られて、ボクの腕を抱くように持たれて、そのままボクの胸のところで「センセ……

うち、こんなに小ぃそうなってしもた……」と泣かれたんです。

ボク、どうしていいか分からなくなって、ただ肩のところをさすってあげるしか出来

ませんでした。

 

 

 

ボクがいつもNLTで、お馴染み『お祭り提灯』を(その頃は)世界最高のファルスと

言ってて、ちょうど劇団が演劇鑑賞会の旅で近畿ブロックを回ってた時、松竹座で

『お祭り……』が出てて、NLTの先輩方が観に行かれました。

その時千草さんは町内の世話役勘太を女性のお勘として演られてて、(なんと山路屋

のご隠居も女性のご隠居で演られてます)、がその時はお勘役で、そうしたらうちの

大先輩の平松慎吾さんが直ぐに「池田クンの言ったのがよく分かったよ。面白かった

ぁ。特に千草さん。あれだけ花道を走って、ひっくり返って、でも又下座が鳴ると、

腹筋使って起き上がってくるんだよ。すごい! もうおかしくておかしくて」と仰いま

した。

我がことのように嬉しかったのを覚えています。

 

 

 

 

本当に素晴らしい喜劇女優さん、いえ、素晴らしい女優さんでした。

 

心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

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