「相棒」考と辻褄 1月2日

〈ま〉の日常 観劇

 

 

穏やかなお正月です。

 

おこたに入って、まったりと、でも少々焦りながら締め切りをこなしています。

 

 

 

さて、

 

以前にも書きましたが、相棒、大好きです。

 

 

そして、

 

昨日の相棒、久しぶりに見ごたえがありました。

 

 

 

 

 

 

 

こんなことを言うと叱られますが、

なので先に謝っておきますが(笑)、

最近の相棒、特に今シーズンのここ数話、どうしたんでしょうか。

ボクはぜんぜん乗れませんでした。

 

 

なので、昨日は久しぶりにワクワクしながら拝見しました。

 

 

ストーリー、ドンデン、逆算の仕掛け、中々のものでございました。

 

 

でも二つ、思うところが………

 

 

一つは、

 

昨日のはミステリーの分野で言えば<サスペンスもの>でしょう。

時間は二時間半、実質二時間強でしょうか。本編並みの時間と予算。

大がかりに、しかもじっくりと作るだけの余裕が見られます。

 

しかし普段は一時間、実質43分くらいでしょうか。

 

だからどうしても小ぶりの物語になります。となると一番よく出てくる分野は

派手さの少ない<本格もの><犯罪もの><一般的刑事ドラマ>です。

 

しかし派手さが少ない分、内容は濃密で、ロジックや仕掛けが重要となります。

 

相棒が他の刑事ドラマと違うのは、杉下右京さんの魅力プラス、どんな分野の回で

も、しっかりしたロジックで、台本の完成度の高さだと思ってきました。

 

それが………

ここしばらく、なぜか以前のようなひねりが無くなってしまい、単純な、

意外性のないよくある話に終始しているように思えてならないのです。

 

そう、ワクワクしないのです。終わった時「そうきたか!」感がないのです。

 

勿論、これはボクだけかもしれません。多分そうなのでしょう。

だから先に謝っておきます。ごめんなさい(笑)。

 

 

あまりに長く続いたため、こちらが飽きてきたのでしょうか?

 

いいえ。だって頻繁にされている再放送は、何度見ても面白いですものね。

 

そう思って録画した最近の数話を改めて見ると………

やっぱり脚本自体、緊張感と遊びと伏線を生かしたドンデンが薄まっている、

と思えて、結局録画を消去してしまう昨今なのです。

 

それが今回のは久しぶりに堪能しました。

 

でも、だからこそ、普段の一時間バージョンでの、特に大好きな<本格物>の

復活を切に切に願う池田でございます。

 

これが一つ目。

 

 

 

さて二つ目。

 

分からなかったことが二つあります。

 

 1 宇崎竜童さんは、なぜあの少年が、真犯人を目撃していると知ったのか?

 

   2 宇崎さんはなぜ、甲斐亨に白羽の矢を立てたのか?

   劇中では、警察庁次長の息子だからという理由になっていましたが、

   その情報をどうして得たのか? どうやって甲斐のマンションを知り

   盗聴器を仕掛けるに至ったのか?

 

この辻褄がどうしてもわかりませんでした。

 

リアルタイムで見たので、見逃したのかもしれないと思い、

録画をもう一度見ました。(万一を考えて録画しといてよかった)

 

 

結論から言います。そのロジック、即ち辻褄は………弱い。

 

2は、右京さんと橋之助丈のセリフで、「警察庁次長の息子だと、公安も簡単に手が

出せないから」とありました。しかしそれは彼を選んだ理由であって、彼が次長の息

子だと知った理由ではありません。では宇崎さんは元々知っていたのか、警視庁付き

記者役の川野太郎ちゃん(がばいばあちゃんでご一緒してよく飲みました)から聞いた

のか。とにかくこちらが忖度するしかないレベルと言われても仕方がありません。

 

 

そして、大問題は1です。

 

結論。分からない。

 

少年の母と妹の証言で、少年が川野太郎ちゃんと言い争っていたとあります。

更に、杉下さんと宇崎さんの取調室の会話で、宇崎さんが「柳沢(太郎ちゃん)から

悠馬クンの話を聞き、脅されているのだと分かりました」とあります。ということ

は、少年が目撃したことは太郎ちゃんから宇崎さんに知らされたことになります。

ではなぜ太郎ちゃんは少年が犯人を目撃したことを知り得たのでしょう。

 

その説明がありません。

 

ここはこの事件の根幹の一つになります。

そこが曖昧ではこの物語は崩壊してしまいます。

 

抜けている場面、それは恐らくこんな場面だと推測されます。

太郎ちゃんが、佐藤藍子ちゃんを助けようと聞き込みをしていた時、偶然悠馬クンに

出会い、不審に思って問い詰めた。その狼狽ぶりから犯人を目撃したと確信。そこで

宇崎さんに伝えた。

 

じゃあ、なぜその場面がないのか。

 

これもボクの推測ですが、ひょっとしたら編集の時点で編集マンが、時間の都合から

カットしちゃったんじゃないでしょうか。

だって、これだけの脚本をお書きになる方がこれを外すとは思えないもの。

 

編集でカットされたであろう箇所が、なんとなくまだあるように思えるのは僕だけで

しょうか。

例えば、指名手配され、あれだけ全国に顔と名前を売られた甲斐亨に対する始末は?

甲斐次長の、無実だった息子に対する気持ちの落としどころは?

散々右京さんに対立した、橋之助丈の部下の無能なおっさんのごめんなさいは?

などなどなど………

 

ま、これらは感情論、好き嫌いの範疇ですが、先述の問題はそうはいきません。

 

勿論、そんなこと気にしなくっても、確かに、十二分に面白い回でした。

 

でもそこを外すと、ミステリーとして失格になってしまうのです。

 

事実、過去、ミステリーの懸賞小説で、ダントツに面白いのに、たった一箇所

辻褄合わせをおざなりにしたために、失格となった作品が幾つもあるのです。

 

辻褄、逆算、フェアプレー。

 

ドラマ自体に大した影響を与えるものではなくても、一見不必要に思えても、更には

少々尺を取っても、そこを守るのがミステリー屋の矜持だとボクは思うのです。

ミステリーとはそういうものなのです。

 

建築学なのです。

どんなに壮麗で利便性あふれるお屋敷も、ボルトが一本抜けていては、柱が一本足り

なかったら、それは欠陥住宅なのです。

 

 

とはいえ、何度も言いますが、今回の話が面白かったことは事実です。

 

録画、消去しません。

又楽しんで見ます。

 

その時ひょっとしたらボクが見落とした場面が出てくるかもしれません。

 

その時には、この日記で謝罪しますね。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは中村橋之助丈のものすごい表情。

 

歌舞伎の公家悪か、亡霊じゃん。

 

あまりに不気味なので小さく載せました。

 

去年の『半沢直樹』の香川クン、いえ、市川中車丈の大和田常務を思い出しました。

 

橋之助丈といい中車丈といい、ホントに歌舞伎役者さんって♡

 

 

 

 

いきなりですが、今春放映の相棒・映画版、楽しみですなぁ。

 

 

 

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