恒例の大好き相棒考 1月2日

〈ま〉の日常

 

 

寒いですねぇ。

 

雪積もってるし。

 

で、正月恒例、大好きな相棒をおこたで見ました。

ああ、至福なひと時。

 

で、去年に続き正月恒例の相棒考、行ってみますね。て、いつから恒例になってん

ねん(笑)。それも、誰にも頼まれもせんのにね。

ごめん。楽しみやねん。それだけ相棒が好きやねん。一所懸命見てんねん。

 

 

ワンシーズンに3回スペシャルがありますよね。

初回、正月、最終回。

今日の話も正月2時間半の大作。実質2時間強。

そして2時間に相応しいお話でした。やっぱりスペシャルはいいですなぁ。

今回は分野でいけば、<サスペンスもの>と<本格>と<刑事もの>の合わせ技で

しょうか。よくばりやなぁ。

 

只、〈?〉もありました。

 

あ、いつもの通りこれはあくまでもボクの個人的意見です。

間違いだらけのピントはずれかもしれません。なので先に謝っておきますね。

相棒のレベルの高さは周知ですし、今回も面白く、ワクワクドキドキしながら

拝見したことに間違いはありませんから。

 

 

まず、ざっと粗筋です。

それもドラマの進行順ではなく、事件の真相内容で行きますので、

以下ネタバレです。まだご覧でない方ご注意を。

 

人生に疲れ自殺しようと樹海にやってきた平岳大クンは、そこで犯罪の天才と

出会います。天才は病で自らも死のうと来ていました。平クンはそこで天才から

犯罪等の話を聞きます。

そこへ同じく人生に疲れた人があと4人も現れ、彼らは集団自殺をすることに。

死にながら、彼らは死なねばならなくなった事情、つまり死んでも許せない恨みを

告白しあいます。死んでも許せない奴らの名前を明かして。

平クンはたまたま生き残ります。で、天才が残した金と人脈を使い、

死んでいった人たちの恨みを晴らしていく………

 

ね。こう書くとすごく分かりやすい筋の通ったお話でしょ。

 

次にドラマの進行です。

まず、杉下さんの友人という石田ひかりさんが自殺をし、杉下さんが葬儀に参列して

いるところからドラマは始まります。次に警察が、犯罪の天才男の捜査に必死になっ

ているという説明があって、そこへ、別の誘拐事件が起き、誘拐犯はなぜか電話で

「我々の動機は特命に聞け」といいます。で、杉下さんが事件場に登場します。

次に政治家への犯罪予告事件が起こります。やがて……

 

というところでしょうか。

 

 

今回のお話の醍醐味は2つ。ミッシングリンク探しと、事件そのものの真相です。

 

このミッシングリンク探しが〈?〉なのです。

 

ミッシングリンクはご存知ですよね。蛇足ながら説明すると、見えない関係性の

事です。例えばAが殺される事件が起こります。続いてB殺害事件が。そしてC殺害

事件も。3つの事件は同一犯による連続殺人か。でも被害者のA、B、Cに全く接点が

ない。赤の他人、生活圏も、生い立ちも、年も、全く関わりがない。

つまり3つの事件は別々の事件。「でも……」と主役(探偵or刑事)は思います。

「きっと3つの事件には関連性がある筈だ」 そこで見えない関連を捜し始めます。

これがミッシングリンクものです。

 

ですがこれには1つだけ重要な要素が必要になります。それは、主役が「でも……」

と思うのに対し、読者(あるいは観客)も同様に「でも……」と思うという事です。

でなければ主役の行動は、カンだけを頼りに逸脱して動く、理解しがたい「はぁ?」

的行動になってしまうからです。古いタイプの刑事がよくいう「刑事のカン」という

奴ですね。勿論古いタイプの刑事が「刑事のカンだ!」と宣言して動くのもアリで

す。宣言してるんですから。でも右京さんはそんなことしません。セリフで「ボク

のカンです」と言っても、そこにはキチンとした〈?〉があって、それらもキチン

とロジックで説明してくれるのが右京さんです。実も蓋もない言い方をすれば、

脚本はいつもそうなってきました。

 

で、今日の相棒を見てみましょう。

誘拐事件の結果的被害者の川上麻衣子さんのお客様の一人が集団自殺をしていた。

その中の一人が、以前右京さんが捕まえた万引き少女の恋人だった。

そんな時、政治家犯罪予告事件が起こる。

 

そこで右京さんは誘拐事件と、万引き事件と、政治家犯罪予告事件と、犯罪の天才男

とが一つにつながると考えていき、捜査を進めていきます。

 

ミッシングリンクと想像するには飛躍しすぎです。

というより、まだこの段階では、一つ一つの事件で手いっぱいのレベルです。

全てを一つに描いていく脚本の走りは、読者(観客)に「でも……」と思わせる

ところまで行っていません。

なのに右京さんは動く。まるで、あの右京さんが刑事のカンで動き出したように。  

つまり脚本で、起こっている事件事象に関連性を思わせるだけの仕込みが

まだ出来ていないのに、右京さんが動き出してしまっているのです。

 

それがいつもの右京さんだろう、とも言えます。でもいつもの右京さんには、

ボク達は気づかないことが見え、そこには見事なロジックがありました。

 

相棒のすごさは、誰も疑問に持たないところに右京さんは〈?〉を持ち、

勝手に捜査を進め、誰よりも早くキチンとしたロジックで真相にたどり着き、

驚きの真相を明かしてくれる。これですよね。

 

なのに今回は普通の刑事の様な捜査が進みます。

 

 

 

二つ目はその捜査とビンゴです。

 

右京さんの、珍しい普通の刑事の様な捜査進行に従って、思い通りに

真相があらわになっていく。というか、思い通りになりすぎているように

思えてならないのです。

あれだけ遠い複数の事件に対し、右京さんが関わると、それが全て繋がっていく。

普通ハズレもあるはずです。なんて無駄のない捜査。

 

いつもの1時間バージョンでもそれはよく起こります。でもそれは右京さんの中に、

成程の推理・ロジックがあって的中していく。

でも今回は、推理というより、刑事の捜査によって進行し、悉くビンゴしていく。

スーパーデカですね。

 

だからこそでしょうか。最初の誘拐事件から、右京さんが繰り返し言うセリフ。

「どんなことにも意味があるんです」

たとえば誘拐犯が「○○公園へ行け」というと、右京さんが必ず「必ず意味がある筈

です」という。これって免罪符のように思えてなりません。

 

なのに、終盤は右京さんの見事な推理のオンパレード。 

いつものように、唸るなぁ、流石右京さんとは、少々違ったように思えたのです。

 

それはなぜだろう。

 

いつもの右京さんなら、ボク達より一歩前を行き、それらは唸るような

ロジックの上での行動であり、最後に見事な結末に導いてくれる。

 

でも今日の右京さんは、まず飛躍的捜査のスタートに立ち、なのに普通の刑事の様な

捜査に、都合よく訪れるビンゴ。でいきなり最後になっての大推理。

 

そう、いびつなんですよ。

 

 

 

さてもう一つは。

 

どんなに複雑な話でも、見終わったら筋の通った一本の簡潔な話になっているのが、

ミステリーとしては1番美しい形です。

 

 

内容での粗筋は簡潔の一本です。でも観終わったら、壮大な物語になっていて、

どんな話だったんだろう、と。

 

結局石田ひかりさんの右京さんに対しての悲恋物語だったという事でしょうか。

 

なんと壮大な悲恋もの。あれだけの事件を起こして到達する悲恋ものって。

 

 

 

 

 

 

でも、このシーンの石田さん。いいですね。

ボク、マジでジーンと来てしまいました。

 

それともう一人。久しぶりの寺島さん。ええとこで出てきはりますねぇ。

ゴルゴか。でも嬉しくなりました。

 

 

 

失礼なことを長々と書きました。

 

大好きな相棒ゆえ、つい調子に乗りました。すみません。

 

 

でも、

 

美しい悲恋ものなのに、ミステリーとしてそんなに美しくなっていないのでは

と思ってしまった一夜でした。

 

 

とはいえ、やっぱり相棒はレベルが異常に高い。

今日だって、高いんですよ。なのにこちらもずっと見続けているからか、

目が肥えてきているんでしょうね。贅沢になってしまっているんです。

 

でもやっぱり相棒はすごい。

シリーズ中の1本で、ここまで考えることができるなんて。

考えようと思うなんて。こんなに楽しめ時間をくれるなんて。

 

相棒。最高です。ホントにハイレベルです。

だからこちらも真剣に見ます。

至福の時間です。

 

 

勿論、次回も楽しみに拝見致します。

 

関係者の皆様、頑張って下さい。

 

 

 

 

 

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