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男組初日 9月14日

池田政之の仕事

 

 

9月も半ば。

 

昨日は三越劇場で若柳禄寿先生主催の春秋会男組の初日でした。

 

 

 

 

 

 

昨日の初日は昼夜二回。

 

多くの俳優さん女優さんが見に来てくださいました。

ここはどこの楽屋かというくらい。

座長さんクラスがぞろぞろ。

ありがとうございます!

 

 

いい初日でございましたよ。

 

 

その中から何枚か。

 

 

 

 

 

 

勝野洋さんと曾我廼家寛太郎さん。丁々発止の大騒ぎとなっていきます。

勝野さん、こんなに喜劇の似合うお方とは思いませんでした。素晴らしい!

 

 

いつも女方を演じてくれている宗山流胡蝶さんやカムイ君、EITAさんだけでは

女性役が足りず、今回はこんな方も女方に回っていただきました。

 

 

 

 

 

 

桂竹丸さんと桂歌助さんです。

蝶さんの友達役で、果ては芸者にまでさせられてしまいます。

 

 

ちなみにうちからは中村と根本が出ています。

 

 

 

 

 

 

根本はなんと六度目の丁稚。

出たり入ったり出たり入ったり、とにかく忙しい役です。

 

中村は、あ、ごめん、カッコイイ武士なのですが、出番後半なので

写真撮り忘れた。

 

本日撮って明日載せますね。

 

 

とにかく、あっという間に終わる大ドタバタ人情喜劇。

 

 

明日までです。

 

喜劇に興味のある方、落語に興味のある方は是非是非。

 

 

 

やっとこさ 9月8日

〈ま〉の日常

 

 

 

いつまでも暑いですなぁ。

 

以前にも書きましたが、ボクはここ10年、9月は真夏だと思ってます。

 

 

それにしても今年の台風来襲率はどうなってんねん。

 

しかも普段なら来ないような関東や東北や北海道にまで。

 

被害にあわれた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

 

 

さて、それでも月日は巡ります。

 

やっとこさ、大好きなシャインマスカットの大粒ものが

お手軽価格で出てまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ秋です。

 

皆さま、油断なく、頑張ってくださいまし。

 

もちろんボクもですが。

 

 

もうすぐ三越劇場『春秋会男組』の初日です。

 

ラストスパートでごんす。

 

 

 

男組快調 9月6日

池田政之の仕事

 

 

商業演劇界で振付・所作指導の第一人者・若柳禄寿先生主催の

『春秋会男組』の稽古が始まりました。

 

 

男組のお芝居は落語を基にして創作してくれとの依頼から始まり

今回が四回目。

 

今回の元ネタは『宿屋仇』

 

寝不足の武士が、今宵もまた喧しい奴らのせいで寝られず

とんでもない嘘をつく……というお話ですが、

そこから本当に仇討に発展するチョウ楽しいお芝居に仕上がっています。

 

 

 

 

 

 

寝不足チョウ真面目武士の勝野さん。

勝野さんとは『柳生十兵衛七番勝負・島原の乱』、

舞台では昨年のコロッケさんの『十年目の約束』でご一緒。

どちらも真面目な役でした。それが……

こんなにコメディが合うとは思いませんでした!

曾我廼家貫太郎さんのいい加減番頭とのヤリトリ最高!

 

 

 

 

 

 

 

佐藤正宏さん、小林功ちゃん、田井宏明クンの三人が妙におかしい。

 

となりで丁稚の根本拓人が困ってます。(笑)

 

中村俊洋は真面目な武士で頑張ってます。

 

 

13日から三越劇場です。

 

皆様是非是非。

 

 

あ、もう一人、宗山流胡蝶さん。

いい加減な番頭のさらに上を行くいい加減な宿屋のおかみです。

最高ですよ。

ただ、今日稽古NGだったので、写真撮れませんでした。

ゲネの扮装を、ね。

 

 

 

62冊を読み終えて 8月28日

〈ま〉の日常 池田政之の仕事

 

 

 

新人賞応募作。

読み終えました、62冊。

 

 

 

 

 

 

昨年は11本。

なのでまず下読みはボク一人でやりました。

上位6本と下位5本に差ができたので、すんなりといきました。

で、全部の作品にコメントを載せて審査員に言上しました。

でも11本だったので、審査員の方もみんな読みましたよ。

 

今年はボクの予想では20~30本。

なので下読みは今年もボク一人で大丈夫と言いました。

 

来年は恐らく50本くらいになるでしょうから、文芸演出部の山崎クンたちにも

協力してもらおうと、本人らの了解も得てました。

ここで一次審査で半分以下に絞って、審査員に言上しようと思っていました。 

 

それがなんと62本。

でも、まずの下読みはボク一人でやりますよと言い切ってしまっていたので、

今年もボク一人でやり終えましたというわけです。

 

流石に疲れましたが。(笑) 

 

でも、皆様の想いが詰まっている応募作です。

一所懸命読みました。

 

 

 

今月8日のここでも書いた通り、

応募作としての不備を抱えた作品、つまり、枚数超過作品、横書き、

登場人物記載なし、ページ記載なし、あらすじなし、年齢明記なし、の作品も、

今回はとりあえず不問にして、キチンと読ませて頂きましたよ。2回づつ。 

で、審査員提出用に全ての作品にコメントを書きました。

 

 

更に去年も書きましたが、ボクは

 

①アイデア(オリジナ性も含む) / ②文章・台詞 / ③構成・展開 / 

④喜劇性(遂行の可能性も含む) / ⑤完成度 / の5項目各10点

計50点満点で読みました。

 

 

採点すると4つのブロックに分かれました。

 

Ⓐおもしろい!!! / Ⓑおもしろい / Ⓒまぁなるほどね / 

Ⓓまだまだお勉強ですね / です。

 

 

そのうち、ⒶとⒷの作品をボク自身の一時通過として明記し、

それに、62本全作品へのコメントを添えた10ページのA4のレポートにして、

全審査委員に言上致しました。

 

9月から10月にかけて2度に渡る審査会が開かれるわけです。

 

 

 

ここで、中身に対して少し。

 

我々は読む戯曲ではなく、現実に上演を見据えての新人賞と

何度も申しました。

なので、面白いお話で、それなりによくできている作品でも

上演不可能な作品は、マイナス5点 と致しました。

なぜ、上演不可能なのかは、発表の時に申しますね。

 

 

 

次に、予想通り大超過作品の中に、冗漫になっているものがあり、

どうしても超過の分、〈構成・展開〉や〈完成度〉の点が辛くなってしまいますね。

 

逆に、波乱ある展開を、キチンと枚数内に収めてらっしゃる作品は、

〈構成・展開〉と〈完成度〉の点数がそりゃ好得点になりますよね。

 

プロ、つまり職業としての脚本家になると、本当に多くの制約が課せられます。

その中に時間的制約があります。

テレビの1時間ドラマなら実質42・3分です。

舞台も、自分たちで劇団を作ってやりたいものを上演なさっている方々には

時間的制限はないでしょうが、職業作家には100%制限があるのです。

商業演劇なら一幕の時間も、全体の時間も、興行によって定められるのです。

 

1割程度の多少なら、演出家や、テレビなら優秀な編集の方が何とでも

してくれるでしょう。

でもそれ以上の超過した脚本を提出したら、「直せ」と突き返されます。

それが出来なかったら、降ろされるのです。

で、どんな条件もクリアしてくれる脚本家へ緊急で注文が行く。

ボク、何本もこなしましたよ、緊急代打。

職業として成立させている脚本家はみんなこれができるのです。

 

つまり、新人賞の枚数制限とは、プロになる為の大事な通過点なのですよ。

 

 

 

更には、喜劇(コメディ)の意味がよく分かってらっしゃらないのでは?

と思われる作品も結構ありました。

 

喜劇(コメディ)には大きく分けると二つの分野があります。

ものすごくおおざっぱに分けるとですが。

 

1つはストリーリーに重点を置くもの。笑えるストーリーです。 

もう1つは人間に重点を置くもの。その人間そのもののおかしさです。

 

そのどちらか、あるいは2つが合体したものが喜劇(コメディ)です。

 

全く喜劇(コメディ)ではない作品に、ダジャレやおやじギャグや

お笑いのようなセリフをぶち込んでも、それは喜劇(コメディ)ではありません。

 

あ、今は 喜劇=コメディ として書いてますよ。

つまりコメディ=喜劇。ファルスも含む喜劇ですよ。

昔の、演劇を指すコメディや、ヴィクトリアン・サルドゥが使ったコメディでは

ありませんよ。

せいぜい、チェーホフまでですよ。

 

余談ですが、チェーホフという人は実に厄介な人ですねぇ。

若いころはファルスやボードビルをいっぱい書いてるのに、

代表作は 喜劇『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』。

あれは喜劇ではありません。

でも喜劇です。

だって本人が喜劇って言ってんですから。

で、後年の学者は悩み続けているわけです。

 

でも、2つのことを考えれば喜劇といえるのです。

1つは書かれた時代背景。ロマノフ王朝末期の世情です。

特に『桜の園』は顕著です。

もう1つは……それはまだ後日に。

だって、人間の真実の姿を映したまま喜劇にしてしまえるのか、を

ここまで追及している作品群を、そんな簡単には論じきれませんもの。

 

とにかく、喜劇がよくわからないという方は、

10月25~30日のNLT・劇団〈ま〉提携の『劇場』、

12月13・14日のNLT『oh! マイママ』

を是非ご覧ください。

タイプの違うコメディ2題。

参考になると思います。

案内を送るかもしれませんので。宣伝かい。

 

 

 

さぁ、これから2回の審査会を経て、結果が出るわけです。

 

 

結果は10月末です。

 

 

もう少しお待ちくださいまし。

 

 

 

 

 

劇団〈ま〉『劇場』で訳・脚本・演出? 8月27日

池田政之の仕事

 

 

今年は2年に一度の劇団〈ま〉の上演年。

 

で、やります。

 

今年はなんとNLTとの提携です。

 

トップページに情報を上げています。

 

更にはNLTのホームページにも詳しく掲載されています。

 

これです。

 

 

 

 

 

 

 

主役は元宝塚男役スターの旺なつきさん。

 

ボク、21年ぶりです。

 

平成3年萩尾望都さん原作の『アロイス』

5年から三越劇場で淡島千景先生の『花の茶碗』6年『花の元禄後始末』

7年『水戸黄門の妻』とお仕事して以来なんですよ。な、な、なんとでしょ。

 

2014年紀伊国屋演劇賞を受賞されて

今乗りに乗ってる演劇人のロムさん。(旺さんの愛称)

メッチャ楽しみでやんす。

 

更には俳優座の河内浩君、仮面ライダー出演の溝呂木賢クン、

昨年の『嫁も姑もみな幽霊』の吉田大輝クン。

そしてNLTから平松慎吾さん、川島一平さん、阿知波悟美さん、小林勇樹さんの

大先輩に、安奈ゆかり、由川信幸、根本拓人、三井千寿、霜垣真由美、大槻千草、

松岡翔の後輩たちの揃い踏みです。

 

 

裏面はこちら。

 

 

 

 

 

 

 

原作は文豪サマセット・モームの傑作長編小説。

それをボクが訳・脚本・演出です。

 

こちらが台本。

 

 

 

 

 

 

 

今、ん?と思われませんでした?

 

作、脚本、演出はいつものこと、そりゃ本職ですから。

 

それが今度は翻訳も???

 

 

実は……

 

2007年楽しみにしていた米映画がようやく公開されました。

『華麗なる恋の舞台で』

米公開は2004年。そのタイトルは『ビーイング・ジュリア』

主演はアネット・ベニングです。

その年のアカデミー賞にノミネート。

でも受賞は『ミリオンダラーベイビー』のヒラリー・スワンク。

ボク、アネット・ベニングが結構好きで、この残念な結果に

『ビーイング・ジュリア』ってどんな話かと調べました。

そうしたらモームの『劇場』ではありませんか。

 

ボクの地元に越川正三先生という大学教授がいらして(現関西大学名誉教授)

高校のころ親しくして頂いていました。

先生はモーム研究の第一人者で、その関係から『劇場』も読んでいました。

が、ミステリーしか覚えてないような奴なので、忘れていました。

それが、おぼろげながら当時のことがよみがえり、

余計、映画を見るのが楽しみになっていました。

 

2007年果たして見た瞬間「これはNLTで舞台になる」と確信しました。

 

早速、押し入れから瀧口直太郎早稲田教授翻訳の新潮文庫版を引っ張り出し、

更に中野好夫東大教授翻訳の集英社版を買って読み、

小説内に登場する舞台の原作戯曲ビネロウの『二度目のタンカレ夫人』を

地元の図書館から兵庫県内の図書館を探してもらって、

姫路のお城の近くの図書館まで行って読み、

脚本化して、NLTに提案しました。

しかし、諸般の事情で実現しませんでした。2008年のことです。

 

今回(ちょうど一年前)NLTの制作O氏とこれをやろうとなったとき、

ボクは一からすべてやり直そうと思い、

つまり翻訳からすべて自分の手でやり直そうと、

ネットで原書を取り寄せ(便利な世の中になりました)

辞書を片手に少しずつ訳し、改めて脚本化しました。

今年の春のことでごんす。

 

 

しかし、池田に訳なんてできるのか、と、思ってる同級生いっぱいいるやろな。

なんせ、英語苦手やったからなぁ。よく中学で英検三級とれたなぁ。

よく大学受かったなぁ。よく大学で必須科目だった英語の単位とれたよなぁ。

そのレベルです。

 

 

でも、越川先生の解説本と瀧口版を大昔に読み、2007年映画を見て、

瀧口版を読み直し、中野版まで読んで、2008年に一度脚本しているんです。

ちなみに映画って原作に忠実ですよ。

つまりストーリーが頭に入ってるんですよ。

なので、原書、読める読める。

つまりは分かっているストーリーをもう一度確認しているだけみたいなもんです。

はい、インチキでやんす。(笑)

 

 

でも、下手な直訳でもとりあえず訳し終わり、

それから2016年版としての改めての脚本化作業。

 

 

翻訳と脚本は全く違います。

 

 

翻訳は、元の原書を一切逸脱してはいけません。

登場人物も場面もストーリーも一切変えてはいけません。

 

もちろん、一切逸脱しない中でその力量を競うわけですから、

翻訳家として一家をなしてらっしゃる先生方の実力は、

恐るべきものです。

直訳レベルのボクなんか、全く世間的には通用しません。

 

ではなぜボクごときのレベルでもOKなのか。

それはそのあとに脚本作業があるからなのです。

 

脚本は、翻訳と違い、原作から一歩も逸脱してはいけないなんてことはありません。

 

脚本は、舞台、映画、テレビによってすべて違うし、

それぞれの特色によって、更には制作的事情、俳優行政的事情、

例えば、皆さんにも覚えがあるでしょ。小説や漫画を読んでいて、

それがテレビドラマになったとたん、主人公が男から女に代わってたり、

結末が変わっていたり……

 

つまり、脚本は原作とは違うものとしてかなりの変更を

許容される世界でもあるのです。

 

つまり、小説や戯曲の翻訳と違って、小説を翻訳しそれを脚本化する作業は

別物なのです。

 

 

あ、そうそう。

もう一つ、脚本化するときに大切なこと。

それは、原作者の了解を得ることです。

 

ボクも舞台やテレビで原作のあるものの脚本化を何本もしています。

現在活躍されている先生の作品を脚本化するときはその先生の、

亡くなられているときはご遺族の了解が必要です。

 

その了解の上で、好きにできるわけです。

 

山本一力先生も、津本陽先生も、藤沢周平先生のご遺族の方も、

他の先生方も、快くお許しくださいました。

 

今回はサマセット・モームです。

モームは亡くなって50年以上たっております。

著作権は今の法律では50年なので、それでも一応NLTのO氏が確認したところ

ご自由にとのこと。

なのでこういう脚本にできたというわけです。

 

 

こういう脚本って?

はい、ボクの脚本では、

長い物語、たくさんの場面をたった一つの劇場の舞台上一つにしました。

多くの登場人物も大半を割愛。総勢15人の出演者で演じられるようにしました。

 

 

つまり、ボクごときの直訳でも、そのあとに脚本化作業があるから

成立しているというわけです。

 

 

これが、外国の小説を脚本化したその脚本を輸入して、その脚本を訳する作業と、

外国の小説を日本人の手で直接脚本化する作業の大きな違いなのです。

 

 

あ、そうそう。

劇中の『二度目のタンカレ夫人』は、その後日談が新作で書かれた、という設定に

して、ボクがオリジナルで書きました。

 

 

こうして2016年版の脚本が出来上がったわけでごんす!

 

 

 

2008年より8年ごしの舞台が、10月25日に初日を迎えます。

 

 

皆さま、ぜひぜひ、ご覧くださいまし。

 

 

 

 

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