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稽古と酒と 2月14日

池田政之の仕事

 

  

 

暖かいですなぁ。

 

東京はこの2日間、初夏の様でした。

 

それでかどうか、稽古場近くの空き地にある桜が満開になっていました。

 

これです。

 

 

 

 

 

 

さて、というわけで、何がや、とにかく、ボクは

毎日、NLTコメディ新人戯曲賞公演の

大塚祥平クン作『お皿の前で、ごゆるりと』の

稽古稽古に励んでおります。

 

もちろん稽古の後は酒に励んでおりやす。なんのこっちゃ。

 

 

こちらはその稽古場の舞台装置セットでごんす。

 

 

 

 

 

 

左奥に松岡が、右前に由川が写ってるやん。共に出演者でごんす。

 

 

普通、商業演劇と呼ばれる大舞台は、稽古場に、セットは組みません。

無対象で稽古をし、セット等は劇場へ入ってからお目にかかるものなのですが、

NLTは劇団なので、スタッフが本物と同じ大きさ、機能を備えた仮セットを

稽古場に立ててくれるのです。

 

恵まれてます。

 

 

ちなみに、今回は2本立て。

 

もう一本のふじもり夏香さん作『アパイピシピテペルプ』は民家のリビング。

こちらはペンションのレストラン。

それを同じセットでやってしまおうということになりました。

 

勿論、基本セットは同じでも、民家とレストラン、全く違うビジュアルにして

お目にかけようという訳です。

 

 

どんな風になりますか。

 

3月10日からです。

是非ご覧くださいまし。

 

さぁ、稽古の後の酒に行ってきまぁす。結局酒かい。

 

 

 

 

逆算作劇ミステリー 2月7日

読書感想文

 

 

 

 

 

 

 

 

朝です。

 

深夜3時すぎから、仕事の合間に1章だけと思ったら、読了、そして朝。

 

締め切りが……

 

 

 

 

さてさて、平成生まれ、鮎川哲也賞作家、青崎有吾クンの

『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続く裏染天馬クンシリーズ第3作

『図書館の殺人』です。

 

1月29日に書いたように、おあずけくろてたもんで、我慢できなくて。

 

 

今回も前2作に続き、殺人は1つだけ。

 

それを大ロジック一本で、長編を優に満たしてくれる

才能あふれた作品です。

 

ロジックの素晴らしさ、加えて前作でも書きましたがセリフが面白い。

この人、脚本家になっても絶対成功する。それも喜劇が書ける。

とくに、ツッコミセリフの素早さ、的確さは、

その辺のエセコメディ作家よりはるかに上。すごい。

 

 

さてさて。

 

ううーん………

 

慣れちゃったのかなぁ。

 

いやいや、作家としてのうまさは向上なさっている。

 

じゃなぜううーんなんだろう。

 

 

1つには、ネタが地味。

1作目の密室や2作目のとんでもない殺人現場ではなく、

図書館で起きる普通の殺人。

 

勿論、序盤に「え?」と思う謎は出るけれど、直ぐに分かるし。

 

 

つまり今回は単純に、〈なぜ被害者は殺されなければならなかったのか?〉と

〈誰が犯人か?〉を追求した作品なんですわ。

 

勿論テンポある面白い会話、生き生きと描かれる高校生活、お馴染み裏染クンの

キャラ等、楽しみ所は満載ですが、本分であるミステリーの部分は、

ひたすらホワイダニットとフーダニットのみ。

そのシンプルさに、3作目でチャレンジしたということでしょうか。

 

そう、シンプルで端正。

 

やるなぁ。

 

 

昔々、日舞のお稽古で、ボクは、例えば『道成寺』や『新曲浦島』や『景清』の

ような大曲も、一ト月くらいで上がってました。

それが、名取になることが決まった時、先生が「そういえば『松の緑』やってなかっ

たっけ?」「やってません」「じゃやろう」となって……

 

『松の緑』は稽古を始めたばかり子供が習うもので、短く単純なものです。

2、3日で終わると思ってました。

 

それが……3ヵ月かかりました。

 

「そんな踊りで名取ですって言えるの!」

 

単純だから、ごまかせない。

装飾がないから、真実の姿しか見せる事が出来ない。

 

やはり、少し腕がついてくると狙ってしまうのですよ。

やはり、ドヘタな頃にやる踊りは、その頃にやっておくべきなのです。

 

 

 

青崎クンは3作目になってそれを出してきた。

 

すごいことです。

 

そしてそれは成功しています。

 

ただ、もっと派手なものを想像していたものだから、ちょいと拍子抜け。

 

でも、たった1つの事件だけで、それも密室等の不可能犯罪のような装飾なしで、

ロジック長編一本成立させるやなんて。

 

やっぱりすごい才能ですな。

 

 

 

ところが同時にものすごい事も浮き彫りになりました。

 

読み終えて、作りがシンプルでかつ端正であるだけに、どのようにこのお話を

構築していったのかが、はっきりと見て取れるのです。

 

ボクの推論ですが、ミステリーは逆算でストーリーを考えるものです。

 

最後に犯人判明があって、そこから逆算していくと、成程、こうやってこうやって

こう物語を構築して、それから頭から執筆なさったんだな、という構成形態が、

今作はホントに手に取るように分かるのですよ。

 

装飾がない分、(裏染クンを取り巻く高校生の賑やかで楽しい描写はありますが)

余計に、いつも言っている、一本の線が明白で美しく、逆算的作劇法が分かりやすく

なったのでしょうね。

 

おまけに、あまりに端正なものだから、ボク3分の2あたりで、

犯人分かってもた。

 

 

皆さん、勿論ボクも、読むのは頭からです。

ですから今書いたことはあまり関係ありません。

安心して青崎ワールドにハマって下さい。

 

で、読み終えた後、考えてみて下さい。

作者はどうやってこの話を構築したのか。

 

 

お手本の様だと思いますぞ。

 

 

お勧めです。

 

 

そうそう、青崎クン、3作目が出たところで申し訳ないんやけど、

早よ4作目出してぇな。

絶対楽しみに読むから。

 

 

 

朝がすっかり……

 

 

締め切りが……

 

 

そうそう、ちなみに『松の緑』ですが、大嫌いです。

振りも曲も記憶から消去しました。念のため。何の念のためや。

 

 

 

 

 

いっぱい観たぞ。 2月4日

〈ま〉の日常

 

 

 

このタイトルも前に使こたな。

 

 

気がつけば1月もあっという間に終わり、

2月ももう3日、日付が変わって4日か。

 

今年もあとわずか11ヶ月を残すのみとなってしまいました。

 

ギャグじゃありません。

 

近年ますます月日の経つのが早くって、本心でやんす。

 

 

 

 

さて、今夜は仕事をさぼりました。

 

もうずっと仕事三昧で、そうなると出てくるのが「読みたい本読みたいねん症候群」

 

ところが今夜出ちゃったのは、貯めた録画と、DVDを見たい症候群。

そんなんもあるんかい。

 

 

『真田丸』2本。『相棒』2本。『天空の蜂』『超高速参勤交代』

『赤胴鈴之助・三つ目の鳥人』『赤胴鈴之助・一本足の魔人』の計8作。

 

夕方から朝の4時までかかってしまいました。

 

 

さすがに疲れました。

 

 

でも、やっぱり面白いものって、脚本の面白さやね。

 

というか、構成展開、つまり物語の面白さ。その面白さをより反映させた脚本。 

 

どんなにお金をかけても、どんなに人間を描こうとしても、

展開、つまり物語が面白くなくては、ダレますな。 

 

主要人物の過去、悲しみ、動機、友情……

分かるけど、そっちが大きくなると途端にテンポも面白さも……

〈純文学の方が大衆文学より地位が上〉的思想は、ちょいとねぇ……

 

30年前、ボクが20代の若い頃、第一線にいらした40代の先輩方は、

口を酸っぱくして仰いました。「人間を描け」と。

「物語に頼る大衆性は堕落」だと。

結果、つまんなくなってもねぇ。

 

勿論「人間を描く」は絶対必要ですよ。

それがなきゃ、生の大根そのまま「食え」と言われているようなもんです。

 

でも、でもね、配分なんですよ。

「人間を描く」が占める割合なんですよ。

 

歴史に残る名作は、まず物語があって、

その中へ入れる「人間を描く」の配分が絶妙なんですよ。

 

 

 

 

さて、今夜の作品です。

 

 

『真田丸』はもうホンマハマるわ。

次回は、我慢して10本くらい貯めてから、一気に見たいくらい。

 

 

『相棒』は、気がつけばあと2ヶ月で終わり。1年中やってほしいな。

再放送も1年中お願いします。

 

 

『天空の蜂』だけは……ううむ……ちょっと配分が……

モックンが、(演技が素晴らしいだけに)、モックンが過去を振り返り、

モックンと江口君が友情をやりはじめると……

30年前の日本のSF(たとえば『首都消失』とか)を思い出しちった。

勿論、技術が違うからすごいんやけど、

「人間を描く」の配分が多すぎて……

ごめんなさい。これはボクの好みの問題ですから。

 

 

『超高速参勤交代』は、素晴らしい配分です。

今年パート2が作られるとか。もうワクワク。楽しみでやんす。

 

 

『赤胴鈴之助』2本は、理屈抜きです。

2本ともボクが生まれる前の1950年代の作品。

 

 

 

 

 

 

中村玉緒さん若い若い。18歳ですぞ。

子役は太田博之さんですと。というても今の若い人、知らんやろなぁ。

主役の梅若正二さん、58年前とは思えない今風のイケメンでやんす。

ジャニーズwestの、のんちゃんを思い出しちまいました。

 

 

 

 

 

ね。60年前にこんな人いたんですよ。

 

更には怪しく不思議な怪人たち。

 

 

 

 

 

 

大好きな『仮面の忍者赤影』や『妖術武芸帳』や、

『忍たま乱太郎』の濃いキャラクターを思い出して、

いやぁ、理屈抜きに楽しませて頂きました。

 

 

 

疲れたけど、改めて勉強になりました。

 

大衆芸術、エンターテイメント、と、「人間を描く」の結合が、

成功する肝は、配分やね。

 

でも、日本の偉い方は、配分が違うからなぁ。

  

喜劇屋としては、推理屋としては、大衆屋としては、

いつも、鼻で笑われています。鳴呼……

 

 

気がつけば、朝日が……

 

 

 

 

稽古場日記 1月31日

池田政之の仕事

 

 

 

今回のNLT公演は二本立てです。

 

もう少しして本番が近付けば、時間分けで、共に稽古をするのですが、

今は日を分けてやっております。

 

なので、稽古日も飛び飛び。

 

しかも劇団の稽古場であるゴコクジスタジオが、床の老朽化による改装工事で

数日つかえず、

新宿区の区民センターみたいなところの会議室や、NLTのオフィスの会議室や

いろんなところで稽古しておりやす。

 

なんかもう神出鬼没の池田達でやんす。

 

 

でも稽古は順調。

 

 

ご紹介いたしやす。

 

こちらが出演者全員と作者の大塚クンであります。

 

おおっと、写真撮り忘れちまった。なんやそれ。

 

 

そこで荒業。

 

今日の稽古で撮って後で載せやすね。

 

というわけで十数時間、お待ちくださいまし。

 

 

なんかものすごいインチキくさいな。

 

 

 

というわけで………稽古場で撮り忘れたので、

飲み場で撮りやした。

 

 

 

 

 

 

作者と出演者とスタッフについてくる若手です。あら、大槻がいてない?

 

ごめん。見切れてた。

今度1人だけアップで撮るから。

 

 

というわけで、みんな燃えてます。

 

 

 

ちょいとおあずけ 1月29日

〈ま〉の日常 読書感想文

 

 

 

皆さんは、この作家だったら、新作が出れば無条件に買う! 読む! と

いう方はいますか。

 

 

ボクの場合は横溝大先生は残念ながらもう新刊は出ませんが、

綾辻行人氏、麻耶雄嵩氏、浅田靖丸クン、

そして最近加わったのがこの青崎有吾氏でごんす。

 

まぁ、見事にミステリー。大衆文学。

たまには世界名作全集とか純文学とか読めや。ほっといて。

 

 

 

さて、出ました。今日発売。青崎氏の長編第3作目『図書館の殺人』

夕べの深夜六本木の書店でゲットしました。

 

 

 

 

 

 

鮎川哲也賞受賞作『体育館の殺人』でデビューの平成生まれの新進作家でやんす。

 

 

上から目線のアニメオタク高校生・裏染天馬クンが大ロジックを強引に展開して

事件を解決する訳ですが、黒でも白! とばかりの大ロジックにハマっちまって。

 

それは2作目の『水族館の殺人』で、ホンマに大爆発しやした。

 

 

さぁ3作目、読む前からワクワクしていやす。

 

読んでもいないのにブログにあげるのは、アンフェアなんやけど、

 

これでも書かな、今月の更新ヤバい。ばらすなよ。

 

 

ただ、今月はもう読む時間とれない。

来週なんとか時間作らんと。

 

 

ちょいとおあずけでやんす。

 

 

そうそう、この大ロジックが炸裂するミステリーを読んでみようと思われる方、

まずお勧めは、長編よりちょいと短めの方がいいかもしれやせん。

 

有栖川有栖氏の『スイス時計の謎』は如何でしょうか。

 

黒でも白! が大炸裂してまっせ。お勧めでやんす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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