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一筋縄では 12月10日

池田政之の仕事 読書感想文

  

 

 

去る6日、NLT『旦那様は狩りにお出かけ』が好評の拍手の中

千穐楽を迎えました。

 

ホントにコメディの王道とここでも書きましたが、

多くのお客様、演劇関係者の方々から、異口同音に

お褒めの言葉を頂きました。

 

NLTの未来は明るいぞ。

 

皆様、ありがとうございました。

 

 

今年幕を開ける舞台はこれでおしまいでごんす。

 

 

とはいえ、もう直ぐ来年1月中日劇場細川たかしさんと中村美律子さんの

稽古が始まります。

 

まだまだ仕事は続きます。

 

 

 

 

さて、そんな合間に、読みましたぞ。

 

強烈な2冊を。

 

 

麻耶雄嵩氏の『神様ゲーム』と『さよなら神様』

 

 

 

 

 

 

とんでもないミステリだっせこれ。

 

まずは『神様ゲーム』。

 

これ、以前講談社が子供向けに(あるいはかつて子どもだった大人に)対し

いわゆる少年ジュブナイルものとして、第一線のミステリ作家約30人が

1人一本で出版したものの一冊です。

 

ボクも二階堂黎人氏『カーの復讐』や島田荘司氏『透明人間の納屋』他

幾つか読んでますが、『神様ゲーム』はその中でも1、2を争う出来と

評判の作ですが、今日まで手を出していませんでした。

 

いいのかなぁこれ?

 

確かに少年探偵団なるものが主人公やけど…… 

 

どこが子供向きやねん。子供読んだら熱出るで。

 

ガチガチの救いようのない本格ミステリ。

 

多くの方が感想で述べられている通り、

こんなん子供が読んだらトラウマになるで。

 

超ど級のラストは、あっけにとられてしまいました。

 

 

 

続く『さよなら神様』はシリーズ化した短編集。

 

なんでっかこれ。とことん救いのないミステリ。

 

 

 

2作ともロジックもドンデンも一級品です。

 

なのに悪意の塊のようなミステリ。

 

しかも主人公は子供やし。

 

あまりお勧めできない一級ミステリ。

 

はぁ……

 

 

 

麻耶雄嵩という人は、常に問題がある作品ばかり発表しているような気が……

 

いえいえ。

デビュー作の『翼ある闇』はボクの中でも確実にベスト10の上位やし、

推理作家協会賞受賞作の『隻眼の少女』はしっかりした作品やし。

あ、でも、二作ともいじわるか……

 

『メルカトルかく語りき』なんて、犯人が分からんじまいで終わる短編集や

ったし。そんなんありか。どの短編も犯人誰やねん! ところがそこまで行く

過程の推理ロジックはものすごく評価されているという変な作品だす。

 

 

とにかく一筋縄ではいきません。

 

 

読んでみようかと思われる方は『神様ゲーム』からお始め下さい。

 

というよりボクは『神様ゲーム』の方が好きでごんす。

 

 

 

 

これぞブールヴァールコメディ 12月3日

池田政之の仕事

 

 

 

昨日の2日は六本木俳優座劇場に置いて劇団NLT『旦那様は狩りにお出かけ』の

初日でした。

 

 

 

 

 

 

お花いっぱいのいい初日でした。

 

 

これぞ正しくブールヴァールコメディ。

 

本当にフランスコメディらしいコメディです。

 

 

本格ミステリーの花形三要素は密室、顔の無い死体、一人二役と

横溝大先生が仰っていますが、

コメディの花形三要素は取り違え、すれ違い、隠匿です。

 

全部詰まってます。

 

コメディに興味のある方にとってはお手本のようなコメディですぞ。

 

 

それと豪華。

 

幕開きの合田クンと永吉さんの美しさと言ったら。

 

有里さんの元伯爵夫人のゴージャスさ。

 

ずっと連続パニックに襲われる加納さんの軽快さ。

 

川端さんのインチキくさい警部の洒脱さ。

 

山ちゃん(山田敦彦さん)のおかしさときたら。

 

佐藤まりも新境地ですね。

 

若い川崎、亀井、海山も頑張っています。

 

 

 

とにかく絵に描いたようなフランスの上流階級の爆笑コメディです。

 

 

6日までやってます。

 

コメディを勉強しようと思っておられる方には絶対のおすすめですぞ。

 

是非是非。

 

 

 

 

感慨深い日 11月28日

〈ま〉の日常

 

  

 

何気に誕生日でした。

 

 

ボクは中学のころから何故か誕生日があまり好きじゃなくて、

ボク自身も、ボクがそうだから両親もずっとスルーしています。

誕生日会もしませんし、普段のマンマ。おめでとうすら言いません。

 

ボクがそう言ってるのに、多分テレだろうと思って、

ハマキヨが一度サプライズで「誕生日おめでとうございまぁす」を

やっちゃって、叱られたことがあって、以来彼らも何もやりません。

 

楽です。

 

 

勿論これはボクだけのことであって、皆様には関係ありません。

なのでボク以外なら、周りが「あの人のお祝いをしようよ」と計画して

誕生会を開くのはOKです。ボクも喜んで参加します。

でも、自分自身で誕生パーティを開催する人は理解できません。

バブルの頃、けっこうそういう人いましたよね。

 

 

今では、毎年恒例の静岡の服部早苗さんの「おめでとメール」と

西村英子おかあさんの「おめでとメール」だけはありがたく頂戴しますが、

それ以外は全くありません。

 

正直、昼過ぎに起きて、そのメールを見るまで、ボク自身も

忘れているのが恒例で、メールを見て「あ、そうだった」と

思うのがもう慣例です。

 

服部さん、西村さん、今年もありがとうございます。

来年も気づかせてくださいまし。(笑)

 

 

というわけで、皆さんも、今日のブログは気にしないでくださいまし。

これ、マジです。

 

 

 

でも、ボクと同じ誕生日の方、おめでとうございます。

 

お仕事をさせて頂いた方では、里見浩太朗さん、松平健さん、新藤栄作君

おめでとうございます。

 

ちなみに新藤君とは、生年月日が全く同じです。

こうなると違うのは生まれた時間。

ボクは朝の7時。彼は昼前だそうで、つまりボクの方が3・4時間早い事になり、

以来彼はボクのことをアニキと呼びます。かわらへんやろ。

 

他にも同じ日の人がいて、広岡瞬さんがそうです。懐かしい名前やな。

 

あと一人不思議な方が。小室哲哉さん。

彼は昔、雑誌等のプロフィールに11月28日と記されていました。

それを見た若き日のボクは「へぇ、同じなんや。小室さん、新藤さん、広岡さん……

同じ日に生まれても(ボクとは) 偉い違いやな……」と、ため息をついていました。

 

それが、例の小室さんが逮捕された時出たのが11月27日。

ん?

以来現在のプロフィールでは11月27日。

 

この1日のサバ読みはどういう意味やねん!

会うたことないので、わかりません。

 

 

ま、ボクも昔、劇場さんの政策で、一つ若くサバ読まされていましたが。

30になったのに、まだ29と。

でもこれ、ボク自身がホントのことを喋りまくっていたので、

みんな知ってて、ぜんぜん意味を成しませんでしたが。

 

 

 

1年はあっという間です。

ウカウカはしていられません。

 

さぁ、気を取り直して(誕生日に書く言葉か)、

今年も頑張るぞ。

今年はもうすぐ終わりや。

つまり来年の誕生日まで又一年もという意味です。

 

そう思うと、やっぱり感慨深い日ですね。

 

 

何も載せる写真がなかったので、最近新幹線でよく食べてる駅弁を1つ。

 

 

 

 

 

 

新大阪で買います。関西らしい一品でごんす。

 

 

 

 

 

 

中身はこう。 

たこ焼き、焼きそば、串カツも入ってます。

これを食いながら新幹線に乗っている訳でごんす。

 

明日あたりもまた乗るから、今度は違うのにしてみよか、と思う誕生日でした。

なんやそれ。

 

 

そうそう。西尾維新さんの『掟上今日子の忘備録』。

西尾さんは、本格もののライトなミステリが得意な方ですが、

たまに読んでました。

なので、ドラマも見られる時には見てたのですが、今日の回に

森岡豊クンが出てました。

しかしシチューのCМといい月桂冠つきのCМといい、

このあいだの『下町ロケット』の第一話といい、『釣りバカ日誌』といい、

『世にも奇妙な物語』のががばばといい、頑張ってるなぁ。

 

ボクも頑張らんと。

お、これの方が、誕生日のコメントらしいな。

 

 

 

  

フレンチミステリー三題 11月24日

読書感想文

 

 

 

フランスのミステリーにはいわゆる本格物が少ないと言われています。

 

事実ですな。

 

今から100年以上も前に、モーリス・ルブランの「ルパンシリーズ」、

ガストン・ルルーの『黄色い部屋の謎』を生んだ国なのに、不思議です。

 

それ以来では、著名なのは一時代後のメグレ警部のシムノンくらい。

 

 

フレンチミステリといえば、サスペンス、ロマンス、犯罪小説が主、

とにかくサスペンスがメインで、特に第二次世界大戦後は本格物の

火は消えたとまで言われたそうです。

 

 

1980年代後半になってようやくポール・アルテが出た。

このブロクにも書きましたよね、ポール・アルテ。

『第四の扉』はすごいよ。

彼は1988年に『赤い霧』でフランス冒険小説大賞を受賞します。

 

 

冒険小説大賞となっていますが、犯罪小説大賞とも訳されて、

広い意味でのミステリ全般に与えられる賞で、

1930年から既に85年の歴史があり、後発のフランス推理小説大賞よりも

権威があると言われています。

 

1989年には日本の夏樹静子さんが『第三の女』で受賞されています。快挙!

 

 

ちなみに1930年の第1回受賞はピエール・ヴェリー『絶版殺人事件』で

本格物です。

 

1931年第2回もステーマンの『六死人』で本格物。

 

1938年にはボアロー『三つの消失』本格物。

 

1948年にはナルスジャック『死者は旅行中』本格物。

 

そんなもんでしょうか。

 

 

今はどれも手に入りにくいものばかり。

 

ピエール・ヴェリーの『絶版殺人事件』はもう無理です。

 

 

何とか手に入る残りの三冊を図書館で借りてきました。

 

ステーマン、ボアロー、ナルスジャック。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下の『大密室』にボアローの『三つの消失』とナルスジャックの『死者は旅行中』

の2作が入ってます。お得。

 

3作とも文庫で200ページくらい。ポール・アルテも。

フランスの本格物って読むのにお手頃ですよ。

 

 

 

『六死人』。

6人の若者が未来と成功を求め其々世界へ飛び出します。5年後、成功しても、

失敗しても、帰国して集まり、得たお金を山分けしようと約束します。

期限になって戻ってくる5人。しかし待ち受けていたのは不可能な状況での

連続殺人だった。

 

なかなかですよ。84年前に書かれたとは思えません。

ただ、やっぱりフランスなんですわ。戯曲と同じ。

フランス人のセリフって、妙にお洒落なんですわ。

フランス戯曲のセリフ。たとえば彼女が好きなら「好き」と言うでしょ。

それを「あの日ニースの浜辺でそよいだ風の香りに似てないかい?」

てなことを言う訳ですわ。

『六死人』でも「今日は、九月の最初の日曜日ですね」なんて言っちゃう訳です。

ベル・ポケット時代の良きフランスの本格ミステリです。

 

 

『三つの消失』

伯爵の城館に飾られたダ・ヴィンチの名画をめぐる、衆人観衆の中の消失事件が

3つ立て続けに描かれます。

3作の中ではもっともトリッキーです。

これには恋は出ません。ホントに無駄のないミステリです。

 

 

 『死者は旅行中』

新聞記者のジルは、アレクサンドリアで出会った女と恋に落ち、

突発的なトラブルから彼女の父が所有する船に乗ります。同じく急を要した

ビップたちも乗り込み、嵐に揺れる船の中から、1人また1人と殺され消え

ていきます。

これが一番楽しかったかな。うん。読み物としても中々でした。

 

 

 

今、フランスは大変です。

 

フランス喜劇をやっているNLTやボクとしては、少しでもフランスの演劇、

小説をより広めることくらいしか出来ません。

 

 

たまにはと思って読んだフレンチミステリ本格物三題。

 

なかなかでした。

 

よろしければ是非。

 

と言っても図書館にしかないしなぁ。

 

 

あ、ポール・アルテはハヤカワポケットミステリーから

いっぱい出てます。

 

ポール・アルテはすごいですよ。

まずは『第四の扉』から。

 

 

 

そうだ! マルセル・F・ラントームがいた!

第二次大戦中の収容所で書かれた幻のミステリー『騙し絵』が!

 

 

 

 

 

 

 

この作者、収容所で3作を書き、戦後出版されるが、

フランスは本格物が下火で、さして売れず落胆して、それ以外にも書いてた

原稿をみんな燃やして、姿を消した、という、本人も幻の作家です。

 

日本で出版された2009年、日本の本格ファンは熱狂して迎えました。

創元推理文庫から今でも出ている筈です。

 

ボクもその時読んでたのに、忘れてたやなんて。年やな。

 

後の2冊も早く出してくださいまし。

 

それとノエル・ヴァンドリーも。

 

 

 

 

 

旦那様はすごく順調 11月23日

〈ま〉の日常 池田政之の仕事

 

 

 

大変なものを見つけてしまいました。

 

いい訳をする訳じゃありませんが、いい訳か。

西へ東へ走り回っていて、郵便物が資料の下に埋もれていて

一昨日、漸く見つけてびっくりしました。

  

西脇市が旧西脇市と黒田庄町が合併して10周年記念式典への

市長からの招待状です。

 

式典は10月1日。

 

とっくに終わってるやん。

 

しかも出席か欠席かの返信用のはがきまで入ってます。

 

ボク何もしてません。

 

無しのつぶてで欠席してしまいました。

 

 

市長、市の関係者各位様、申し訳ございませんでした。

 

 

ただ、ただね、出欠票が入ってて、日時までに返信がないんやから、

連絡の1本くらい下さいよ。

「こういう案内を送ったんですけど、どうなりました?」とか、

「ちゃんと届いてますか?」とか。

普通確認するでしょ。返信がないんやから。

 

いえいえ、届いていたのに、資料の下にうづもれて、

全く気づかなかった僕のせいです。

 

お詫びいたします。

 

 

 

 

さてさて、今NLTの『旦那様は狩りにお出かけ』の稽古が

熱く熱く行われています。

 

ジョルジュ・フェドーの傑作喜劇でボクの脚色です。

 

 

2度稽古見学に行ってきました。

稽古終了後の飲み会が目当てですが。

 

 

 

 

 

 

 

左から永吉京子さんと合田雅吏クンと演出の大江祥彦クンです。

 

 

本当に順調に、爆笑喜劇に仕上がってます。

ブールヴァールコメディの決定版が120年の時を超えて甦ります。

 

 

来月2日から俳優座劇場です。

 

皆様、是非是非!

 

 

 

 

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